半導体後工程の実装および最終検査受託業者(OSAT:Outsourced Semiconductor assembly and Test service)の2018年上期市場は、ランキング・トップ10社の合計で、前年同期比10.5%増の111億2800万ドルに達するとの見通しを市場調査会社のTrendForceが公開した。
OSAT市場は2017年上期に同16,4%増と高い成長率を記録したが、2018年上期の成長率はそれよりも緩やかなものになる見通しとなる。これについて同社は、スマートフォン市場の鈍化と、ウェハ価格上昇が背景にあるとしている。この影響はICテストならびにパッケージング業界も受けており、同市場は前年同期比1.4%増の251億5000万ドルと、2017年上期の同9.1%増という成長率から大きく下回る見通しだという。
企業や地域別の情勢を見ると、中国のOSATであるJCET(Jiangsu Changjiang Electronocs Technology)が同18.7%増、TSHT(Tianshui Huatian Technology)が同40.9%増、およびTFME(Tongfu Microelectronics)が同17.2%増と、トップ10社の中でも高い伸びを見せ、市場シェアも合計26.9%と、過去最高の割合を獲得。一方、台湾勢としては、ASEグループとSPILの合併が完了したほか、PTI(Powertech Technology)が中国勢以外としては同31.5%と最高の成長率を記録する見込みで、その背景にはメモリ製品の価格上昇ならびにテラプローブおよびMicron Akita(マイクロン秋田)の買収による売上高の増加がある。また、シンガポールのUTACグループは、上海工場を閉鎖した影響でマイナス成長を記録している。
なお、TrendForceはOSAT市場について、5G、AI、自動運転などの新興テクノロジーに期待がかかるが、これらの新興テクノロジーはまだ採用の初期段階にあり、業界内における成長の勢いは限られていると分析。その一方で、パッケージングおよびテスト業界は、産業バリューチェーン全体の中で依然として弱い存在のため、ほとんどのパッケージングおよびテストサービスプロバイダーはコスト圧迫に直面しており、2018年上半期の粗利益率は1年前より低くなっていることも指摘。例年、下半期にピークシーズンを迎えるが、粗利益率の低下圧力は年末まで続く可能性があるとの見方を示してる。