内田洋行は6月11日、「働き方変革」をテーマにしたプライベートイベント「チェンジ・ワーキングフォーラム 2018」を東京で開催した。

同社は1989年に「知的生産性研究所」を設立し、イノベーションを創出する組織のあり方を研究しており、その知見をもとに、2010年には働き方変革コンサルティング「Change Working コンサルティング・サービス」を開始。イベントとして、「チェンジ・ワーキングフォーラム」をスタートしている。イベントは、今年で8回目となる。

イベントの中では、内田洋行 執行役員 知的生産性研究所 所長 平山信彦氏が「チェンジ・ワーキング~イノベーションを生み出す組織をつくる」と題して講演した。

  • 内田洋行 執行役員 知的生産性研究所 所長 平山信彦氏

同氏は冒頭、「最近は、時短を進める、残業減らすことを働き方変革と捉えている面もあるが、本来の目的はイノベーションを起こすこと、すなわち新しい価値を生み出すことだ」と指摘。具体的には、「勝ち残れる柔軟で強靭な組織をつくる」という経営者側の視点と、「社員が働きがいを感じる組織にする」という社員視点の2つのハピネスを追求することだと説明した。

同氏はイノベーションを生み出す組織を、日々の仕事の中で

・役に立つモノ・コトを創り出す
・うまいやり方を考えて実行する
・面白いことを考え実現する

組織とした上で、このような組織には、すばやく動く、失敗を恐れない(Trial and Error)、活動量が多く、交流が盛ん(Serendipity)、明るく元気、互いをリスペクトする(Engagement)という特徴的な風土があるとした。

  • イノベーションを生み出す組織の風土

平山氏よれば、2つのハピネスを実現するためには、行動様式、意識(メンタリティ)、組織風土などの行動・意識の変革が必要で、これを推進する環境として、制度・しくみ、ワークスペース、ICTの整備を行っていくべきだという。

ただ、意識改革を中心にやっていくのは効果が薄く、同社では行動起点の風土改革を推進しているという。同氏はその理由として、人の意識を変えるのは難しい点、行動変革は「トライアル」が可能である点、行動を試してみてハピネスを感じると意識が変わる点を挙げた。

  • 行動が変わると意識が変わる

同氏は行動変革の例として、ワイガヤをする(短時間で)、会議をやめて打ちあわせをする、まず試してみる、何かかあったら(5分でいいので)すぐ集まる、広く交流する、イベントを開く、仕事をシェイプアップする、仲間を褒める、認めるなどを挙げた。

  • 行動変革の例

一方で、こういった変革をやろうとすると、時間がない、忙しい、日々の仕事でていっぱい、他人のことまでかまってられないなどの言い訳が聞かれるが、これに対し平山氏は「日々できることからスタートし、流れをつくることが重要」だとした。

そして同氏は最後に、働き方変革の成功要因として、経営層の積極的な参加とより変革に積極的なアーリーアダプタの醸成を挙げた。

  • アーリーアダプタの醸成が働き方変革の成否を分ける

経営層の積極的な参加の施策としては、ビジョンと提示と変革への強い意思表示が必要だという。