伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は6月11日、エクストリーム-Dが提供する、高速な計算処理のためのHPC(High Performance Computing)環境をクラウド上に構築する「XTREME-DNA」の取り扱いを開始したほか、XTREME-DNAを使用して自社のCAE解析ソリューションをクラウド化し、SaaSサービスとしての提供を開始すると発表した。
CAE解析はコンピュータ上に対象物のモデルを構築し、強度や耐熱性などの特性を算出し予測することで設計・開発・検査の工程を効率化する。多くのコンピュータリソースを必要とするため高速な計算処理を実現するHPC環境が必要となるが、オンプレミスで用意するには高価なこともあり、クラウドでの利用が進んでいる。
CTCが取り扱いを開始するXTREME-DNAは、Microsoft Azure上でのHPC環境の構築を自動化するクラウドサービスとなり、リソースの調達や設定を含めたHPCクラウド環境の構築に加え、運用や監視のツールも備えており、負荷のかかる計算処理で大量に必要とされるクラウドの管理業務が効率化できるという。
また、機械学習や解析シミュレーションなどのさまざまなアプリケーションをSaaSとしてテンプレート化しているため、導入後、すぐに解析に着手できるサービスとなっている。
CTCは、XTREME-DNAの取り扱い開始に伴い、自社のCAE解析ソリューションをXTREME-DNAのテンプレートにしたクラウドサービスを提供する。第1弾として、自社開発の超音波シミュレータ「ComWAVE」をクラウド化し、同シミュレータはは建築・建設や医療などにおける超音波検査の結果から、10億要素規模のメッシュを駆使して固体の状態を高精度にシミュレーションするソフトウェアとなる。
XTREME-DNAのComWAVEテンプレートを使用すれば、ユーザーはMicrosoft Azure上の最新のGPUを使用したComWAVEの実行環境を最短1日で利用を開始することができるという。
さらに、熱プロセスシミュレータ「FINAS/STAR TPS Edition」や非線形・動的・流体構造連成シミュレータ「LS-DYNA」など、そのほかのCAE解析ソリューションも順次クラウド化を進めており、今後は複数のクラウド環境においてユーザーやデータなどを管理する統合ポータルサイトの開設や、解析シナリオと実行結果の可視化などの機能拡充を予定している。
今後、高度な解析シミュレーションを活用する自動車メーカーをはじめとした製造業や重工業などを対象に、3年間で100社への提供を目指す。