ネットワンシステムズは、過去3年の実績・知見を体系化した、製造業向けIoTソリューションを提供開始すると発表した。同ソリューションは、「工場の生産設備のネットワーク接続」「IoTデータの収集・管理・分析基盤の構築」「クラウドやデータセンターとの接続」「操業停止を防ぐセキュリティ対策」「IIoT総合サービス」から構成される。
市場開発本部長 松本陽一氏は、「製造業において、工場のスマートファクトリー化が急務となっているが、既存の工場のシステムネットワークで接続することが想定されていない。そこで、工場の制御技術(OT)システムと情報技術(IT)システムに関する知識を持ち合わせ、実際に工場でOTとITをつないできたわれわれが間に立って、OTとITをつないでいく」と、製造業の課題と同社の強みを説明した。
製造業にはOAとFAの2つのシステムが共存している。OAシステムはITで構築されているが、FAはOTで構築されている制御システムとITで構築されている生産管理システムに分類される。
同社は2015年頃から制御システムをIP化することに取り組んできたが、そこで、ITとは違うOT固有の特性を学んだという。「制御システムのIP化は非常に大変だった」と、松本氏は語る。
しかし、案件を重ねる中で、OTとIT双方の文化、ニーズ、課題を理解し、ノウハウを積み重ねてきた。そうしたノウハウを体系化することで、多くの製造業がスマートファクトリー化をスムーズに進めることをサポートしていきたいという。
ソリューションの詳細については、市場開発本部 ICT戦略支援部 シニアマネージャー 黒田宜範氏が説明を行った。同ソリューションは、「生産設備のネットワーク接続」「データの収集・管理・分析基盤」「クラウドやデータセンターとの接続」「操業停止を防ぐセキュリティ対策」「統合サービス」を組み合わせて提供される。
具体的には、同社が製造業向けIoTサービス(IIoT-プロフェッショナル、IIoT-プレディクト、IIoT-オペレーション、IIoT-クラウド、IIoT-グローバル、IIoT-キャピタル)、ソリューション(IIoTネットワークSol、IIoTセキュリティ、IIoTデータ統合基盤Sol)を組み合わせて提供される。
同社では、スマートファクトリー化を3つのフェーズに分けて考えている。第1フェーズでは「設備が安全につながる」ことを実現する。具体的には、「CPwE(Converged Plantwide Ethernet)」や「IEC62443」といった産業・工場分野のネットワーク/セキュリティの規格や標準技術を基に、安全で拡張性の高いネットワーク基盤を構築する。制御システムと生産管理システムをつなぐ「IoT-LAN」を構築し、これをOAシステムとつなぐ。
第1フェーズでもう1つカギとなるのがセキュリティだ。「エンタープライズ」「マニュファクチャリング」「セルエリア」と3つのゾーンに分けて、ホワイトリストとブラックリストを併用した仕組みを用いて感染時の影響を最小化する。エンタープライズゾーンには高度な対策、セルエリアゾーンには単純・簡単・確実な対策を講じる。古いシステムについては、修正パッチなども提供されないため、防御ではなく、「検知」と「遮断」によって対処する。
第2フェーズでは「データを活用できる」ことを実現する。黒田氏は、「日本の大手製造業はまだパブリッククラウドにデータを保存することに抵抗がある。よって、オンプレミス上でデータ活用の仕組みを構築する」と語った。
データ分析支援を行うサービス「IIoT-プレディクト」では、現在、「ネットワーク(生産設備の安全な接続)」「データ収集と転送」「データ加工と保存」「可視化と検索」を提供しているが、今後「不良検知と予知保全」を提供する予定だ。また、「IIoTデータ統合基盤Sol」では、現場のデータを製造アプリケーションが利用可能な形に整理・整形する基盤(データハンドリング基盤)と製造アプリケーションを統合するための仮想化基盤を構築する。
第3フェーズでは「クラウドで高度に分析できる」ことを実現する。製造業はクラウドの利用に抵抗を感じていることもあり、このフェーズは将来的な目標だという。