前回に引き続き、通信各社が2020年の実用化を目指し開発が進められている5G関連のサービスやアプリケーション、ユースケースが紹介された「5G Tokyo Bay Summit 2018」パビリオンで注目を集めていたブースの様子を本稿でお届けしていこう。
かわいらしいビークルが出迎えてくれた中西金属工業とKMD(Keio University Graduate School of Media Design)の展示ブースで来場者の注目を集めていた「agbee(アグビー)」は、農業における運搬、計測、記録と農業従事者の"相棒"ともいえるような、とても心強いサービスを提供する。
「agbee」は、土壌に埋め込んだセンサーやビークルに搭載された重量センサーなどから畑の状態はもちろん、収穫状況を把握することで“次に行うべきことを考える”を支援してくれる。また、かわいらしいビークルは実際に農作業を行う際の身体的作業負荷軽減に役立ってくれるといい、展示ブースで公開されていた映像では、作業者の後を自動で付き従う様子が公開されていた。5Gが活躍するユースケースとして、ビークルが自動で畑を走行し自動で農薬を散布する、農作物を荒らす害獣を寄せ付けないために巡回するといったアイディアが紹介されていた。
次いでピックアップするのは、新日鉄住金ソリューションズの「5Gロボット」だ。これは、5Gのネットワークを用いて操作者が人型ロボットを遠隔操作することができるというもの。VRで培われたモーションキャプチャー技術を利活用し、人間同様の表現力の高い動きを実現していた。利活用の提案として、危険を伴う工場での作業や物流現場での作業、建設現場で活躍する建機を遠隔操縦などが紹介されていた。
先に紹介した「5Gロボット」にも搭載されており、実際に試すことで「これは凄い!」と感心させられたのが慶應義塾大学ハプティクス研究センターの「力触覚通信ハンド」だ。展示ブースでは、“利用者に力、振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得る技術”と定義されているハプティクス技術を体験することができるコーナーが設けられていた。マスター・スレーブ型のロボットハンドを遠隔操作して壊れやすいポテトチップスを掴む、という一見単純なデモンストレーションではあったが、「今、ポテトチップスを掴んでいる!」という確かな手応えを感じることができ、壊さずに掴む、という人間がごく当たり前に行っている所作を実現していた。力触覚をオフにして同じようにポテトチップスを掴もうとすると、手応えが一切感じられないため粉々に粉砕してしまったことも付け加えておこう。