Cypress Semiconductorの日本法人である日本サイプレスは、車載および産業機器に高い安全性と信頼性を提供するNOR型フラッシュメモリファミリ「Semper(開発コード名)」を発表した。
同ファミリの最大の特徴は、ISO 26262に基づいて設計されたほか、ASIL-Bにも準拠(ASIL-Dにも対応)しているという点。また、AEC-Q100にも準拠しているほか、温度範囲も-40℃~+125℃と、過酷な環境でもデータ保存が可能できることも特徴となっている。
さらに、ハードウェアとしては、45nmプロセスのMirrorBit NORフラッシュアレイに加え、Arm Cortex-M0を搭載しているほか、機能安全として、「Safe RESET(セーフリセット)」「Sector Protection(セクター保護)」「Diagnostics(診断)」「SafeBoot」「Data CRC(データCRC)」「Interface CRC(インタフェースCRC)」といった6種の診断機能をハードIPとして搭載。ECCと併せることで、高い安全性と信頼性を実現したとする。
加えて、フラッシュメモリを出荷時に用途に応じて複数パーティションに分割して、各パーティションごとに高耐久性または長期保存用といった最適化を図ることを可能とする「EnduraFlexアーキテクチャ」を採用。高頻度なデータ書き込みの場合、512Mビット品の場合、最大128万回、1Gビット品の場合は最大256万回の書き換えサイクルを実現することができる一方、長期保存なデータ保存の場合、25年間のデータ保存を可能にするとしている。
製品としては、512Mビット/1Gビット/2Gビット/4Gビットの4製品を提供する予定。同社は旧Spansion時代に1ダイで8Gビットの45nm MirrorBit NOR製品をアナウンスしているが、Semperは512Mビットもしくは1Gビット品を1ダイで製造し、2Gビットならびに4Gビットは1Gビットをワイヤボンディングで積層する形で1チップ化して提供する方式を採用しているとのことである。8Gビット品の提供は現状、ターゲットとする車載ならびに産業機器におけるNORの適用アプリケーションではないことから、今のところ予定はないとしているが、将来的により大容量なNORが要求されるようなことになれば柔軟に対応していくとしている。
このほか、インタフェースとしてはクアッド シリアル ペリフェラルインタフェース(SPI)、 オクタルインタフェース、 およびHyperBusインタフェースに対応し、 オクタルおよびHyperBusインタフェース搭載製品は、 高速x8シリアルNORフラッシュに関するJEDEC eXpanded SPI(xSPI)規格に準拠し、400MBpsの読み出し帯域幅を実現するという。
なお、同社では今後も、こうした用途に合わせたNOR製品ファミリをプラットフォームとして提供していく方針としている。すでに512Mビット品のサンプルを主要顧客向けに出荷しているほか、規格準拠品のサンプル出荷も2018年第4四半期より開始する予定。また、24ボールBGA、16ピンSOIC、および8接点WSONパッケージでの512Mビット量産品を2019年第1四半期から提供する予定で、順次1Gビット品なども提供を行っていくスケジュールとしている。