半導体市場調査会社である仏Yole Développementが5月末に発行したMEMS市場に関するレポートによると、2018~2023年のMEMS市場の年平均成長率は17.5%となり、2023年には310億ドルに達するという予測が示されている。
同社のMEMS調査部門でプリンシパルアナリストを務めるEric Mounier氏によれば、民生向けが全体の過半を占めるものの、民生のみならずすべての用途向けで成長することが見込まれており、中でも一番のけん引役はRF MEMSであり、RFを除いた年平均成長率は9%に留まるという。これは、5Gへの移行やバンド数の増加で、4G/5G向けRFフィルタの需要が増加することが期待されるためで、BAWフィルタがもっとも高い成長率を示すという。
一方、MEMSの中で歴史のある製品である圧力センサも、まだまだ成長が期待できる市場となっている。特に自動車向けはニーズが高く、タイヤの状態をこれまで以上に正確かつ詳細に把握できる圧力センサは、将来の自動運転車での需要増が期待できるという。また、民生としては、モバイルおよびスマートフォン向けが圧力センサの用途の9割を占めているが、将来にわたっては、スマートホーム、電子タバコ、ドローン、ウェアラブルといった新たな用途での適用が見込まれるという。
このほか、MEMSマイクロフォンは、長年にわたって注目されてきたセグメントであり、過去5年にわたって大きな成長を遂げた。「2008年には1億500万ドルに過ぎなかったMEMSマイク市場は2012年に4億ドル、2016年には10億ドルのマイルストーンに達した」と、Yoleのフォトニクス、センシング&ディスプレイ調査部長Guillaume Girardin氏は述べている。現在、約45億個が毎年出荷されており、その85%が携帯電話向けとなっているという。
なお、2017年のMEMS売上高トップはBroadcomで、RF MEMSがフィルタやマイクに大量に使われたことが後押しとなった。このほかのMEMSメーカーの多くも年々、成長を続けており、中でもRobert Boschは2016年~2017年にかけて売上高を1億ドルほど増加させたほか、SiTimesも前年比100%を超す成長を遂げるなど、好調さを示す企業が多く、結果として、2017年のMEMSトップ30社の売上高合計は98億8100万ドルに達したという。