一般社団法人日本ビジネスメール協会は6月5日、仕事におけるメールの利用状況とその実態を調査した「ビジネスメール実態調査2018」を発表した。この実態調査は、仕事でメールを利活用する人を対象に2007年より12年連続で行われており、仕事のなかでどのようにメールが利活用され、そこにはどんな課題があるのかメールコミュニケーションの現状をあぶり出している。

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調査項目や調査対象などの詳細な属性情報についてはオフィシャルWebサイト上より報告書にてご確認いただきたいが、「仕事で使っている主なコミュニケーション手段」は「メール(96.50%)」が最も多く、次いで「電話(90.02%)」、「会う(68.87%)」という結果が明らかになった。この上位3手段に関しては2011年より変化がない。「LINE(LINE WORKS含む)」や「ChatWork」、「Facebook Messenger」や「Slack」など、コミュニケーション手段の多様化が進んでいるが、従来より親しまれてきた手段に一日の長があるようだ。

また、仕事で1日に送信するメールの平均は「11.59通」、受信するメールの平均は「34.30通」となっており、近年減少傾向にある。役職別でみると、送受信ともに最も多いのは「部長クラス」という結果となった。これだけ受信件数が多いことを鑑みると、さぞメールチェック回数も多いのでは?と予測されるが、実際に「1日に10回以上(43.74%)」が最多となった。

興味深い調査結果として注目したいのが、「いつまでに返信がこないと遅いと感じるか(急ぐ場合を除く)」と言う設問。最も多かった回答は「1日(24時間)以内(33.97%)」なのだが、より早いタイミングで「1時間以内(9.53%)」にもピークがあることにも注目したい。急ぎの場合を除いていても、“早く返信が欲しい”と思っているビジネスパーソンは潜在的に相当多いのではと予測される。

しかし、「メールの返信が遅れてしまうこと」の結果を見ると、「よくある(13.88%)」「たまにある(57.25%)」となっており7割の人が遅れてしまうことがあると回答している。自分が送信したメールに対しては早く返事が欲しいけど、遅れてしまう現状も理解しているので1日以内に返事がくれば良い、そういった現場でもがくビジネスパーソンの姿が目に浮かんだ。

ユニークだったのは、自分のメールに対して何らかの不安を抱いている人が7割を超えているということだ。最多となった不安は「正しく伝わるか(66.42%)」ではあるが、「メール1通作成するのにかかる平均時間」をみると“思い悩む割にはメール作成に時間を掛けていない”現状も見える。また、「過去1年間に仕事でメールの失敗をしたこと」という設問については「よくある(2.33%)」「たまにある(34.93%)」となっており、失敗した内容に関しては「添付ファイルの付け忘れ(41.58%)」、「誤字や脱字(38.09%)」とケアレスミスが多いことが伺える。

日々膨大なメールを受信するなかで、「相手のビジネスメールの上手さを感じること」については「よくある(18.01%)」「たまにある(59.81%)」と多くの人がその経験を有しており、その内容に関しては「文章が簡潔で分かりやすい(65.50%)」「結論が先に書かれている(55.57%)」「件名が分かりやすい(47.71%)」が上位を占めている。しかし、ここにも「返信が早い(43.78%)」が入るなど、“上手さ≒早さ”な関係性も見て取れる。

ビジネスコミュニケーションの中心として未だにメールが主要な手段として利活用されているが、デジタルトランスフォーメーションの推進や新たなコミュニケーションテクノロジーの出現等でその位置付けは変化していくことだろう。そういった状況であっても、「相手のビジネスメールの上手さを感じること」で垣間見られた“相手をおもんぱかること”が円滑なコミュニケーションの鍵を握るのは間違いないだろう。