東京海上日動火災保険は、中小企業を狙うサイバー攻撃の実態調査のための実証事業を行う「共同研究契約書」を大阪商工会議所、神戸大学とともに締結したことを31日に発表した。
実証事業は、一定数の中小企業からのネットワーク上の通信データを期間中に収集し分析するもので、6月から8月に調査対象先の募集を行い9月から来年1月にかけて神戸大学の協力のもと実施される予定。
大阪商工会議所が昨年6月に行った関西地方の中小企業に対して行ったアンケートでは、25%の中小企業が実際に被害を受け、そのうちの18%が標的型攻撃メールを受信している。約7割が現状のセキュリティ対策では不十分とし、約5割が専門人材がいないと回答している。
日本の企業の大多数を占める中小企業は、大企業と比べるとセキュリティに対しての投資は後手に回りやすいが、特定組織や個人を狙う標的型攻撃では、得意先や下請け先などを通じた感染拡大が企業の規模を問わず懸念される。3万を超える会員を持つ大阪商工会議所は、大阪工業大学と連携した都心型オープンイノベーション拠点「Xport」の開設、NTTドコモとの大阪市内における5G技術検証環境「ドコモ5Gオープンラボ OSAKA」の設置(9月予定)など積極的な実証、検証取り組みを行っている。
東京海上日動火災保険は、2015年から「サイバーリスク保険」や「サイバーリスク総合支援サービス」を提供しており、2017年には加入者に対して無料でサイバーリスク要因のベンチマークレポートを提供するサービスも開始している。