富士通は6月1日、スマホアプリを通してオンラインと実店舗で商品のシェアリングを実現するシステムを開発し、三越伊勢丹の従業員向けに同18日、顧客向けに8月1日から、それぞれシステムの有用性や事業性の検証を目的としたトライアル検証を行うと発表した。
開発したシステムでは、アパレルメーカーや百貨店が商品データを登録するだけで、スマホアプリを利用したシェアリングサービスを始めることができるという。顧客は同サービスを通じて、普段馴染みのない服を実店舗で試着し、スマホアプリで手軽にレンタルすることを可能としている。
また、実店舗の販売員(スタイリスト)がチャットでコーディネートを提案するなど、既存顧客や潜在顧客に対して実店舗の強みを活かした付加価値を提供し、顧客ごとのライフタイムバリューの最大化を実現するという。
トライアル検証の概要としては、シェアリングシステムの導入により、実店舗における新規顧客の獲得、既存顧客の利用頻度、利用シーンの変化のほか、実店舗とスマホアプリをシームレスにつないだユーザーエクスペリエンスにおける顧客満足度の変化を検証する。
実施場所は、銀座三越3階、期間は三越伊勢丹の従業員向けが6月18日~6月28日、顧客向けが8月1日~11月30日。トライアル検証内容は銀座三越向けのスマホアプリを利用し、銀座三越の実店舗で取り扱うブランドのレンタル用に用意された商品の中から、気に入った服をレンタル(有料)。
レンタルの一例(来店なしに予約することも可能)としては、スマホアプリで実店舗にある商品のQRコードを読み取り、お気に入りの商品を登録し、レンタルしたい商品をアプリ内検索、もしくはお気に入り登録の中から選択した上で事前に登録したクレジットカードによる決済で手続きを完了。決済後に実店舗のスタイリストがタブレットで顧客のスマホ画面に表示されるQRコードを読み取り、商品の貸出を記録し、該当の商品を梱包して顧客に渡す。
そのほか、スタイリストが商品を組み合わせたコーディネートを行い、実際のスタイリング写真などの情報を顧客に送信する機能や、実店舗でスタイリストにフォロー申請することで、チャットを通じたスタイリング相談などができる機能も検証する予定だという。
今後、富士通では検証の結果を通して、小売業やアパレル業向けに購買におけるQRコードを利用したキャッシュレス決済の機能拡充や定額制のサブスクリプションサービスでの提供を検討していく考えだ。