富士通クラウドテクノロジーズ、ゼンリン、防災科学技術研究所(NIED)、エー・シー・エスの4者は5月31日、4者で構築した自治体向けの「気象災害予測支援システム」を使用し、福岡県朝倉市と避難支援情報早期提供の実証実験を行うと発表した。

朝倉市は2017年7月に発生した九州北部豪雨により、河川の氾濫や土砂災害などの甚大な被害を受け、多くの犠牲者を出し、避難行動を支援するための迅速な情報提供の難しさが浮き彫りになったという。

4者は同実験を通じて、朝倉市の防災力向上を図るとともに、同実験の成果を朝倉市と同様に中小河川の氾濫や土砂災害の可能性を抱える自治体へ展開することで、想定している。

同実験の目的は河川氾濫および土石流災害における避難の判断支援情報提供の有効性検証、防災担当者のユーザビリティ向上復旧、復興において求められる機能の検討の3つ。

4社で構築した気象災害予測支援システムは、豪雨発生時における河川の氾濫や土砂災害の予測を複数の情報から分析し、避難に必要な情報を自治体へ早期に提供することで、避難指示発令を支援するシステム。

主な特徴としては、関係各所が提供する防災情報を自動収集し1つの画面で見やすく表示するほか、河川水位・表面水量で河川および斜面の危険度を評価し避難情報発令判断の支援を可能としている。また、集落単位での危険情報の把握が可能なことに加え、6時間先までの河川水位上昇や土砂災害の危険度を予測し避難指示等発令判断を支援できるという。

なお、各社の役割としてゼンリンは同事業全般の管理/統括/意思決定、実証事業について関係機関との連絡・調整、同事業および実証事業の関係者への周知行動、実証事業成果の取りまとめ、災害時の場所の特定や周辺状況確認に有効な住宅地図情報の提供を担当する。

防災科学技術研究所は、センサによる計測、実証実験全体への助言・提言・分析・評価を担い、富士通クラウドテクノロジーズは、災害時にも予測計算を継続可能なクラウド環境を提供する。エー・シー・エスは、予測支援システムの開発及び調整、現地調査による地勢・植生・土質などの確認を担当する。

  • 各者の役割

    各者の役割