シノプシスは30日、フラッシュメモリーを3次元積層した東芝メモリのBiCS FLASHの検証期間短縮に向けた同社との協業の成果を発表した。

3Dフラッシュメモリーに搭載されるメモリーアレイは、従来型のフラッシュメモリーと比べて非常に大規模で、アナログ/プログラミング回路も複雑化し、電力供給ネットワークが広範囲に張り巡らされている。さらに、メモリーアレイは垂直積層された構造のため、レイアウト後の寄生要素に起因するカップリング効果を考慮して設計する必要がある。このように高度に複雑化したデザインに従来の回路シミュレーション・テクノロジを適用した場合、シミュレーション実行時間が数日におよぶ。

シノプシスは、こうした問題を解決するため東芝メモリと協業し、3D NANDフラッシュメモリー・デザインの複雑化に対処するための革新的なシミュレーション・アルゴリズムを開発し、それを搭載したFineSim Pro FastSPICEの提供を開始した。

同製品には、3Dフラッシュメモリー・デザインに特化して最適化した重要なテクノロジが搭載され、膨大なアレイ構造や大規模な電力供給ネットワーク、レイアウト後の寄生効果に効率的に対処し、高精度なアナログ回路の実現が可能となった。これにより、3D NANDフラッシュメモリーの回路シミュレーション速度が平均2倍に向上し、これまで数日かかっていたシミュレーション実行期間を1日以内に短縮可能となった。

東芝メモリ SSD応用技術技師長の大島成夫氏は、次のように述べている。「当社では、2000年の早い段階からFineSimをサインオフ回路シミュレータとして使用してまいりました。そしてシノプシス社との長年にわたる協業を通じて、様々なアプリケーション向けに業界最高水準のフラッシュメモリー製品を開発してきました。今回も同社と緊密に協業することにより、当社の最新のBiCS FLASHメモリーの検証にFineSimを活用し、当社が掲げる非常に高度な品質ならびに信頼性の目標を達成できました」

また、シノプシス デザイングループ エンジニアリング担当コーポレート・バイス・プレジデントのPaul Lo氏は、次のようにコメントしている。「最先端のフラッシュメモリー・デザインでは、その堅牢性、信頼性、コスト競争力を確かなものとするために、徹底した回路シミュレーションを実行する必要があります。当社の開発チームは、東芝メモリ様との緊密な協業にコミットしており、その結果、高度に複雑な3D NANDフラッシュメモリーの困難なシミュレーション課題を克服して"Super Chips with Synopsys"を実現できる、かつて無い回路シミュレーション・テクノロジのご提供が可能となりました」