TrendForceの最新のレポートによると、プレミアム・スマートフォン(スマホ)市場は、ベンダーがミッドレンジモデルとの間の境界をぼやけさせた結果、新機種が期待されたほどの買い替え需要を生み出さず、結果として、スマホベンダーの高性能プロセッサに対する需要減少を引き起こし、それが先端プロセスの提供を背景とするファウンドリの成長をも低下させる結果となっていると報告している。そのため、TrendForceでは、2018年の上半期(1~6月)のファウンドリ市場の成長率は前年同期比7.7%増の約290億6000万ドルに留まると推測している。

半導体ファウンドリの売り上げランキングトップはこれまでと変わらずTSMC。同社は、スマホの需要低迷という逆風にもかかわらず、同12%増の163億ドルとなり、市場シェアも56.1%と圧倒的ポジションを堅持すると見られる。このほかの企業の順位もほぼ変化なく、売り上げも2位のGLOBALFOUNDRIESは、顧客リストに大きな変化がないことから同0.8%増、3位のUMCも28nmおよび14nmプロセスに基づく新規顧客開発を進めて同6.4%増、4位のSamsung Electronicsに至ってはMulti-Project Wafer(MPW)サービスを積極的に推進し、新たな顧客発掘の可能性を模索しているものの、苦戦が続いており同2.2%減のマイナス成長に落ちる見通しとなっている。

5位のSMICは、28nmプロセスの歩留まり向上に専念しているが、それ以前の成熟プロセスを武器に、中国国内からの需要を引き受ける形で同11.9%増を達成する見通しだという。

また、6位のTowerJazzは、製品ミックスの調整を進めており、より高収益品の比率を高めようとしており、その調整の結果、同4.0%減となる一方、7位のPowerchipは、受注を拡大させており、同27.1%増となる見通しである。8位のVIS(Vanguard International Semiconductor)ならびに9位のHua Hong Semiconductorは、200mmウェハ需要の増加を追い風に同15.1%増、同13.5%増の伸びが見込まれている。このほか、10位には、前年同期のDongbu HiTek(東部ハイテック)に変わって産業機器や自動車関連のエレクトロニクス化の恩恵を受けたX-Fabが同4.6%増で入る見込みであるという。

なお、同社は現在、一部のファウンドリが、第3世代半導体とも称される分野に注力しつつあるともしている。例えばVISは、200mm GaN-on-Siliconの受託生産を開始しているし、X-Fabは150mmでSiCの受託生産を月産3万枚規模で開始している。また、台湾Episil Technologies も、SiCおよびGaNウェハを用いたファウンドリサービスに注力するなど、TSMCなども含め、あらたなプロセスサービスとして、注目を集める可能性があるとしている。

  • 2018年上半期の半導体ファウンドリ売上高ランキング・トップ10予測

    2018年上半期の半導体ファウンドリ売上高ランキング・トップ10予測 (10社中、SamsungとPowerchipの2社は、IDMであり、そのファウンドリ事業部門の売上高はTrendForceの推測) (出所:TrendForce )