半導体ネット販売商社であるMouser Electronics(マウザー・エレクトロニクス)は5月24日、同社の2017年度の日本地域の売り上げが前年度比55%増、顧客数も同54%増と大きく成長したことを明らかにした。年度当初、同社は日本での成長率を30%と見込んでいたが、予想以上の高い成長を達成したこととなる。
顧客の増加に在庫数の増加で全世界2日納期を維持
日本地域の躍進には目を見張るものがあるが、マウザー全体としても高い成長を達成しており、同社でグローバルサービスおよびAPAC & EMEA担当シニア・バイス・プレジデントを務めるマーク・バーノロン氏は、「電子部品市場は全世界で好況が続いており、それに併せる形で継続して販売実績が伸びている。中でも近年は、EMEAとAPACが伸びている」と、世界的に売り上げが拡大していることを強調する。
同社の成長が続いている要因の1つとして、グローバルにおける新規顧客の獲得件数が伸びていることが挙げられる。「ほぼ1分に1件の割合で新規顧客がユーザー登録をしてくれており、そうした新規顧客の増加は製品のサプライヤサイドにも、マウザー経由であれば、そういった今までつながりの無かった企業にアプローチが可能になるということでよい効果を及ぼすようになっている」(同)とのことであり、そうした新規顧客からの需要に応えるために、倉庫の拡張を継続して行なっているという。
具体的には、この1年のうちにオフィス面積は1.3万m2から1.84万m2へ、倉庫は5.7万m2から8.44万m2へ、建物は7万m2から10.22万m2へと拡張され、倉庫数そのものも664から1050へと増加。在庫数も約87万点まで拡充されているが、さらに倉庫を拡張して在庫を増やす計画があり、「拡張のための敷地にはまだまだ余裕があり、需要の伸びに応じる余地は十分にある」としており、こうした取り組みを続けていくことで、同社の特徴である注文を受けてからの顧客の手元に届けるまでに配達日数(納期)、全世界で2日~4日を維持していくとする。
マクニカとの提携で高い成長を遂げた日本地域
また、日本地域に目を移すと、月間のアクセスユーザー数は(ロボットを除く人間のみ)25万程度で、グローバルでは検索サーチエンジンからの流入が全体の6割程度あるが、マクニカとの提携により、同社との提携Webサイトからの流入が多いといった特徴があるという。このマクニカとの提携のインパクトは相当大きかったようで、2017年度の成長率目標を大きく上回る原動力となったとする。
こうしたマクニカという国内有数の半導体商社からの流入数の増加といった動きもあり、売り上げの約6割が半導体、組み込み、センサ関連(グローバルでは5割弱)となっているという。マウザーのバイス・プレジデント兼マウザー・ジャパン総責任者を務める勝田治氏によると、「日本の顧客は、まず半導体を選んでから周辺回路などを選ぶことが多い」と購入の傾向を分析するほか、「購入者の45%ほどがOEM(メーカー)で、OEMの内訳としてはインダストリアル関連が6割とグローバルの3割強と比べても高く、そうした業種にフォーカスを絞った施策を取り入れて深堀りをしていく予定」と、今後の戦略を説明。
「将来、2019年度の話になるが、そうした深堀りをベースに、さらなる展開を図っていく」と、すでに先々まで見据えたロードマップを策定済みであることを明らかにした。
なお、日本を地域別に見ると関東圏からのアクセスが多いことから、関西方面からのアクセスの増加を目指すとするほか、自動車の電動化(エレクトロニクス化)が進展していることから、名古屋地域をはじめとした自動車関連の顧客獲得を強化して行くことを目指しているとのことで、こうした取り組みを進めていくことで、2018年度も前年度比30%の成長率の達成を目指すとしている。