アナログ・デバイセズ(ADI)は5月17日、高集積アクティブ・アンテナ・ビームフォーミング・チップ「ADAR1000」を発表した。同製品は、防衛、監視、航空管制、通信、気象観測用のフェーズド・アレイ・レーダー・システムの設計を簡素化し、システム・サイズ、重量、消費電力を低減することができるという。

  • 高集積アクティブ・アンテナ・ビームフォーミング・チップ「ADAR1000」

    高集積アクティブ・アンテナ・ビームフォーミング・チップ「ADAR1000」

具体的には、航空電子機器の設計では、同製品によりフラット・パネル・アンテナ・アレイが可能となるため、従来のレーダー・システムを小型化することができ、小型・軽量な航空機を一層容易に設計することができるようになる。

4チャネルをもつアクティブ・アンテナ・ビームフォーミング・チップで、アンテナの位相/利得の調整とデジタル制御に必要とされる12個の個別部品を置き換えることができるほか、このICは、XバンドからKuバンドにわたる時分割複信(TDD)通信をサポートする。

また、T/Rスイッチを内蔵しており、これを使用すると共通ポートを送信用入力(Tx)または受信用出力(Rx)に切り替えることができる。4対のTxおよびRxチャネルは個別に利得と位相を設定可能となっており、最小限の回路を追加するだけで、外部T/Rモジュールをすべて面で直接制御できるよう設定可能だ。すべての設定値は内蔵メモリに読み込むことができ、利得/位相の設定とT/Rモジュールの設定を素早く読み込むことができる。

同製品はサードパーティの設計支援をほとんど必要としないため、次世代のレーダーや通信システムをターゲットにしたアクティブ・アンテナ・フェーズド・アレイの迅速なシステム構築を可能にする、柔軟なビルディング・ブロックを提供していくとしている。