さくらインターネットは5月22日、経済産業省の「平成30年度政府衛星データのオープン化及びデータ利用環境整備事業」の委託先として契約を5月9日に締結したと発表した。

同事業は、同社のクラウドサービスおよびIoTプラットフォーム事業により、政府衛星データを利用した新たなビジネスマーケットプレイスを創出し「政府衛星データのオープン&フリー化及び利用環境整備に関する検討会 報告書」が明示した5つの社会的便益である、(1)人材育成を通じた未来への投資、(2)国民生活の安全・安心への貢献、(3)地方独自の課題解決に貢献することで地方創生への寄与、(4)データドリブン社会推進による日本の産業界の効率化、(5)新規ビジネス産業創出の実現への寄与を目的としている。

宇宙ビジネスはアメリカやヨーロッパでは民間企業が積極的に参入している一方、日本では政府衛星データは一般的に利用しやすい状況にはないことに加え、衛星データの加工には高い専門性や高価な処理設備・ソフトウェアが必要なことから、産業利用は限定的な状況だという。

同事業における目的の実現に向けて、大規模なストレージ(2018年度は5PB、順次拡大予定)と高い計算能力を持つプラットフォーム「Open&Free Platform」の構築・運営、衛星データの新たなビジネスマーケットプレイス創出のためのアライアンス組成の2点に取り組む。

Open&Free Platformでは、2018年度は5PBのストレージを用意し、政府衛星データなどを利用者が扱いやすい環境で無料で提供するとともに、分析・解析などに必要なコンピューティングを有料で提供するビジネスモデルを検討している。

政府事業期間において、同社のインターネットインフラ「さくらのクラウド」「高火力コンピューティング」「Arukas」の無料利用枠を設定し、ライトユーザーや研究者・学生を中心に提供していく。2018年度においては、約2億円の無料利用枠を予定している。

アライアンスは、Open&Free Platformの開発と利用促進を目的に組成する。利用促進においては、データサイエンティストの育成や競争資金の提供、政府衛星データと組み合せる多様な地上空間情報の収集、全国各地でのセミナー、Webでの情報提供などを実施を予定。

リーダーとして東京大学 空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授を招き、宇宙産業関連産業を含めた複数の事業者・研究機関・団体で開始し、同事業は4年目から完全民営化を予定している。