既報の通りIntelは5月17日、都内で「Xeon Scalableプロセッサ」に「Arria 10 FPGA」を統合した「Xeon Gold 6138P」(2018年5月21日時点でark.intel.comには未掲載)を発表した(Photo01)。この発表に併せて同社は、都内でサーバビジネスの概況や今後の戦略などの説明を実施。そこから、同社の今後のサーバビジネスの方向性が見えてきた。
好調なデータセンタービジネス
まずビジネス概況について。2017年におけるサーバのTAM(Total Addressable Market)がおおむね540億ドルで、このうちIntelは35%(189億ドル相当)を確保している(Photo02)が、今後、サーバのロジック向け(つまりプロセッサなど)は大きな伸びが見込めない。一方で、メモリやシリコンフォトニクス、イーサネットなどがどんどん伸びていくとする。
またIntelの社内の売り上げ比率を見ても、やはりデータセンタービジネスの伸びが大きいため、ここが今後の成長エンジンになっていくとみなしている(Photo03)。
こうしたこともあってデータセンター部門は好調であるということを強調する。
さて、こうした好調なデータセンタービジネスの勢いを維持すべく発表されたのが「Xeon Gold 6138P」である(Photo05)。既報の通りIntelはサーバ向けのPAC(Programmable Acceleration Card)の提供を開始しているが、こちらはPCI Express x16の拡張カードであるため、どうしてもサーバのフォームファクタそのものが大きくなる。薄型のブレードでも搭載できるようにするためには、FPGA FabricをCPUに統合したXeon Gold 6138Pの方が都合が良いとは言える。加えて言えば、性能面でもCPUとUPI経由で接続することで広い帯域と低いレイテンシ、それとキャッシュ・コヒーレンシが手に入ることになり、FPGA Fabricを利用する際のオーバーヘッド削減にも役立つことになる。欠点は、当然CPUとFPGAが間近に配置されることで熱くなりやすいことで、このあたりはサーバメーカー(今回で言えば富士通)の冷却ソリューションの腕の見せ所だろうか。
ソリューションの拡充でCPU市場の周辺も補完
また、これとは別に発表されたのが新しい「Intel Select Solution」(Photo06)である。
具体的にはPhoto07の8つの重点分野を定め、それぞれに応じた最適化したパッケージやソフトウェア類まで提供する、という話だそうだ。
その最初のものとして、HPC分野向けのソリューションを利用した「PRIMERGY CX400 M4」が富士通から発表されることになるという話であった(Photo08)。
このほかメモリの話題にも言及。Photo02にもあるようにメモリも成長分野であり、ここに向けて昨年から3D XPointを利用したOptane SSDが提供されているが(Photo09)、これに加えて「Intel Persistent Memory」が今年中に提供開始されることが明らかにされた(Photo10)。
ちなみにこのPersistent MemoryはXeon Scalableのリフレッシュプラットフォームで利用可能になるという話で、具体的に言えばチップセット(というかマザーボード)は既存の物だが、プロセッサそのものは「Cascade Lake」(開発コード名)ベースのものになるという話であった(Photo11)。