半導体市場調査企業の米IC Insightsが、2018年第1四半期における半導体企業の売上高ランキングトップ15の速報版を発表した。
本社の所在国・地域別に見た場合、トップ15社は、米国8社、欧州3社、韓国2社、台湾および日本1社ずつとなる。2018年4月にシンガポールから米国に本社を移したとするBroadcomは、米国企業として集計されている。また、同ランキングはファウンドリとファブレスも含んだもので、もしファウンドリのTSMCを除くと、15位にMediaTekが入ることとなる。
他社ランキングではファウンドリを除くことが多いが、それをあえて入れている理由として同社は、各社のマーケットシェアではなく、業界内で真に半導体を最も沢山供給している企業のリストを提供したいためであるとしている。このため、半導体の売上高がファウンドリと製造委託企業の2重で計測されてしまい、市場規模としては実態より大きくなってしまうことに注意する必要がある。しかし、このランキングを利用する多くの半導体製造装置・材料メーカーにとっては、ファウンドリを除外してしまうと、彼らの売り先である半導体メーカーリストに抜けが生じてしまうほか、ファウンドリの規模の大きさを見失ってしまうことになると同社では説明している。
同四半期のトップ15社の売上高合計は、前年同四半期比25.6%増の891億2700万ドル、トップ10社で同26.9%増の781億9700万ドルとなった。半導体市場全体の成長率が同20%であることを踏まえると、これら上位の企業は、それより6~7ポイント高い成長を遂げたこととなる。
トップ15社中、14社が売上高20億ドルを超えた。前年同氏半期に20億ドル超えていたのは10社であったことを踏まえると、4社増えたことになる。
メモリバブルで止まらないSamsungの勢い
Intelは、2017年第1四半期までは売上高ランキングで世界トップであったが、同第2四半期にSamsungにトップの座を譲り、2017年通年でもトップから陥落、1993年以来20年以上にわたり守ってきたトップの座を降りた。
2018年第1四半期もSamsungの勢いは衰えを見せず、半導体売上高の83%が高値を維持する半導体メモリが占め、前年同四半期比43%の成長を遂げた。同社の売上高における半導体メモリの比率は、2016年の71%から、2017年第1四半期には77%へ、2018年第1四半期には83%へと上昇しており、メモリの高騰の恩恵が大きいことが分かる。 また、トップ15社中、日本勢は東芝が8位につけたのみとなった。その売上高は、同27%増の38億2700万ドルであるという。また、今回15位に入ったAppleの売上高は、すべてiPhoneなどの自社製品向けカスタムICによるもので、デバイス自体を外販して得た収益ではないことに注意が必要だ。
なお、2018年は、QualcommのNXP買収といった大型M&Aの実現が予想されており、メモリ市場の過熱が続けば、ランキングに変動が見られるだろうが、やがては成熟に向かうだろうと、同社では見通しを示している。