Dropboxは5月16日、都内で記者説明会を開催した。説明会には米Dropbox COOのデニス・ウッドサイド氏と同 グローバル セールス バイスプレジデントのフィリープ・ラコール氏、Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏が出席した。
最初に、ウッドサイド氏がグローバルにおけるビジネスの最新状況について「第1四半期の収益は前年比28%増の3億1600ドル、有料ユーザー数は累計1150万ユーザーとなり、個人から中小、大手企業が活用している。また、登録ユーザー数は5億人以上で180カ国以上で利用され、ユーザーの80%が業務にDropboxを使用している」と述べており、好調な業績は3月にナスダックに上場したことも影響しているようだ。
同社のソフトウェア展開戦略は、従来のトレンドとは異なる方向へ舵を切っている。それは従来の「IT部門中心型の設計」から「ユーザー中心型の設計」、「トップダウンの導入」から「ボトムアップでの導入」、「ロックインされた環境」から「オープンエコシステム」、「総入れ替え型」から「共存型」に、それぞれ変革することで他社との差別化を図っているという。
ウッドサイド氏は「IDCの調査によると、特にファイル同期に関しては競合他社より性能に優位性があり、これまでインフラストラクチャに投資を行ってきた成果だ」と胸を張っていた。
高い成長率を誇る日本市場
続いて五十嵐氏が登壇し、日本の状況について「働き方改革、ITコンシューマライゼーション、クラウドへの移行、起業・社内起業を背景に成功を収めていると言えるだろう。これは、コラボレーションや生産性のROI(Return on Investment)、シンプルさ、使いやすさ、連携によるエコシステム、ユーザー主導型のイノベーションを提供しているからだ」と、説明した。
成功を示す指標として、収益はトップ5市場のうちの1つであり、成長率はトップ10市場のうち1位、Dropbox Businessの機能である共同編集ツール「Paper」の利用に関して、トップ3市場のうちの1つとなっている。
領域としては、教育分野と建設業、デジタル業界を同氏は挙げており、各業種に合わせたDropboxの訴求が実を結んだという。教育分野では関西大学、建設業では松井建設や東邦レオ、デジタル業界ではマネーツリーやメルカリなどが採用している。
ラコール氏は補足として「日本では、アカウントエグゼクティブが1つの業界に特化するように整備し、日本で初めて取り組んだのが教育、建設、デジタルだった。なぜ、成功したかと言えば、それぞれのアカウントエグゼクティブが各業界のプロセスについて理解したからだ。例えば、建設会社がどのようにして建物を建築するのか、プロジェクト管理法、協力企業の対応、建築物の図面管理などに関して理解を深めたため、真の価値をユーザーに提供することが可能になった。一方、他国では多様な業種のユーザーを1人のアカウントエグゼクティブが担当しており、混在している状況のため、日本の取り組みを他国に展開していく」と、説明した。
今後の方針について、五十嵐氏は「働き方改革を掘り下げて業種・業界に合わせた働き方を提案する。また、PaperとDropbox Professionalに搭載しているPaperの技術をベースにした『Showcase』は議事録や社内報など利用法が幅広くあるため、ユーザーに活用を促進していく。さらに、エコシステムの強化を進めていく。アプリとシームレスにつながることが重要であることから、連携することでエンドユーザーの快適性を担保していきたいと考えている」と、力を込めていた。
昨年5月の社長就任会見では、Paperを軸に従来のクラウドストレージベンダー以上のことに取り組む、と意気込みを述べていたが、好調な業績が示すように今後も成長が期待されるため、同社の動向に注目したいところだ。