Intelは5月17日、FPGA「Arria 10」を統合した「Intel Xeonスケーラブル・プロセッサ」として「Xeon Gold 6138P」を開発し、一部のサーバベンダ向けに提供を開始したことを明らかにした。

これまでにも同社はBroadwell(開発コード名)のXeonとArria 10 GXをマルチチップパッケージ(MCP)で統合した製品をサンプル提供してきたことはあるが、今回の統合製品は、Xeon+FPGAの統合チップとしては、初の量産製品という位置づけになるという。

統合されるのは、Xeonスケーラブル・プロセッサ 6138Pと、Arria 10 GX 1150で、2チップ間はIntelのUPI(Ultra Path Interconnect)バスを介して接続される。これにより、1ソケットあたり最大160GbpsのI/O帯域を提供するほか、Arria 10には独立したキャッシュ領域に加え、UPIによる低レイテンシかつキャッシュ・コヒーレントなアクセスによるプロセッサとメモリの共有も可能としている。

さらに同社では同製品の活用を促すことを目的として、仮想スイッチのリファレンスデザインも用意。これを用いると、FPGAをインフラのデータプレーンのスイッチングに使用すると同時に、プロセッサがアプリケーションまたは仮想マシンの処理を実行することが可能であり、これによりネットワークの複雑性を解消できるようになるほか、プロセッサの生産性向上も実現可能になるという。また、Open Virtual Switch(OVS)フレームワークとの互換性も備えているため、FPGAによるアクセラレーションが無い場合でも、同等のプロセッサ上で稼働するOVSと比較して、半分のレイテンシでスループットを3.2倍に向上させるほか、2倍以上の仮想マシンに対応することが可能になるとしている。

なお、すでに富士通が同プロセッサとOVSリファレンスデザインを搭載したシステムの提供を行うことが決定しているという。

  • FPGA「Arria 10」を統合したXeonスケーラブル・プロセッサ

    FPGA「Arria 10」を統合したXeonスケーラブル・プロセッサ。XeonとArria 10という2つのチップが搭載されているだけあって、かなり大きいサイズとなっている