広島県は5月17日、AI/IoT、ビッグデータのなどのデジタル技術の利活用により、これまでにない新しいソリューションを創り出す実証実験の場「ひろしまサンドボックス」 を構築すると発表した。そして、同日、この事業を推進していく組織として「ひろしまサンドボックス推進協議会」を設立した。
「ひろしまサンドボックス」は、広島県内企業、大学、自治体等の様々な主体があらゆる実証実験を行うことができる場を構築し、県外からも先進的なスタートアップ企業や専門人材を呼び込み、県内企業等とコラボレーションすることで AI/IoT等のノウハウや知見を蓄積させ、広島発の新たなソリューションを次々と生み出す共創エコシステムの構築を目指すもの。物理的な検証用の施設を提供するわけではなく、実証実験に対する資金援助を行っていく。
サンドボックスに参加希望の場合、企業、大学、各種団体などからなるコンソーシアムを結成。開発内容や支援してほしい予算などを明らかにし、協議会に応募する。採択されたコンソーシアムに対して、広島県は3年間で最大10億円規模の資金援助を行う。なお、コンソーシアムの公募は、今年の6月、9月に行われる予定。
広島県では、採択するコンソーシアムとして10個程度を想定しており、単純計算で1つのコンソーシアムあたり1億円の補助を受けられることになるが、このあたりは具体的な金額が決まっているわけでなく、実験内容によって判断するという。
現在、コンソーシアムは、広島県内の企業や団体を含めることを条件にすることを想定している。
また、コンソーソシアムが行う実証実験は、広島県が委託する形式を採り、開発されたソリューションの知的財産の帰属や、製品化のプロセスについては、今後検討するという。
「ひろしまサンドボックス」には、事業実施に向けたパートナーとして、渋谷区及び渋谷未来デザイン(FDS)は、渋谷のスタートアップ企業等プレイヤーと広島県をつなぎ、サンドボックスへの参加が促進されるよう連携する。
また、ソフトバンクは、AI・IoT等の利活用推進による地域の活性化および県民サービスの向上を図るため、今年の1月に「AI・IoT等の利活用推進に向けた連携協定」を締結しており、広島県内外からの産業や人材の集積を図り、広島県の産業における生産性の向上とイノベーションによる新たな付加価値の創出実現に向けて相互に連携し、協力するほか、通信環境を無償提供する。
そのほか、NTT西日本も今年の4月、広島県における地域活性化および県民サービスの向上に向け、AI・IoT等の利活用を推進することを目的として、連携協定を締結しており、今回、通信環境を無償提供する。
広島県知事の湯﨑英彦氏は、「すでのソリューションとして出来上がっていくものではなく、まだできなていないもの、まだないものをこの場で試していく。ノウハウを持つ県内外の人材を呼び込み、新しいものを創っていく。将来的は分野を越えたデータ連携、相互利用を念頭においたデータ基盤を構築していきたい」と述べた。