セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 コマーシャル営業 千葉弘崇氏

セールスフォース・ドットコムは5月15日、小規模・スタートアップ企業向け CRMアプリケーション群「Salesforce Essentials」を国内で提供開始すると発表した。

第1弾として提供されるアプリは、販売チーム向けの「Sales Cloud Essentials」とサービスチーム向けの「Service Cloud Essentials」。

専務執行役員 コマーシャル営業 千葉弘崇氏は、中小企業庁調査室による「2017年版小規模企業白書」の調査結果を例に出し、国内のすべての企業の約85%が小規模企業であり、同社としては、小規模企業とスタートアップ企業が抱える課題を解決して生きたいと述べた。

千葉氏は小規模企業とスタートアップ企業が抱える課題として、「営業活動が属人的」「従業員が複数の役割を兼任している」「会社にIT部門がない」を挙げた。

こうした課題を解決するITシステムの要件は「設定が簡単」「使いやすい」「拡張できる」であり、それを実現するシステムが「Salesforce Essentials」となる。「Salesforce Essentialsは小規模企業とスタートアップ企業が抱える課題を解決するとともに、新たな形で顧客とつながることを可能にする。その結果、収益拡大と生産性向上を実現する」と千葉氏。

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代茂樹氏

「Salesforce Essentials」については、マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代茂樹氏が説明した。「設定が簡単」の実現をするにあたっては、「チュートリアル」「設定アシスタント」「Trailhead」が用意されている。

「Sales Cloud Essentials」と「Service Cloud Essentials」を初めて起動すると、チュートリアルの画面が立ち上がり、利用にあたって必要な操作の項目が表示される。初期設定は、「設定アシスタント」に従うことで、簡単に行える。

「Trailhead」は同社が提供する無償のオンライントレーニングで、400を超えるコースが用意されている。御代氏は、「今回、Salesforce Essentialsの提供開始にあたり、日本語化をはじめ、Trailheadの準備にかなりの時間をかけた。各項目の終わりに、習得度を確認できるテストが用意されており、学習状況を追跡することができる」と説明した。

  • 「Salesforce Essentials」のチュートリアルの画面

  • 「Salesforce Essentials」向けのTrailheadの画面

また、同社のAI技術「Einstein AI」をベースとしたEinstein Activity Capture機能によって、電子メールを受信したり、予定を入力したりすると、Salesforce内に自動でメッセージが追加されるようになり、営業データと顧客データを連携する。取得されたメッセージは顧客とのやり取りを示す詳細な履歴を提供するものであり、次のやり取りをよりパーソナライズされたものにするのに必要なコンテキストをもたらす。

加えて、「Salesforce Essentials」はSalesforce Lightningのフレームワークをベースに構築されており、任意のデバイスに応じた体験を提供するほか、1つの統合コンソールに関連情報を表示し、最新のプロセスと直感的なワークフローを実現する。

「拡張性」については、アプリマーケット「AppExchange」で、必要に応じて、同社のパートナーが拡張機能を提供するアプリを入手できる。今回、「Salesforce Essentials」のためのアプリをピックアップしたWebページを作成したという。

「Sales Cloud」「Service Cloud」はいずれも既に「Professional」「Enterprise」「Unlimited」というエディションが提供されているが、これらと同様に、「Salesforce Essentials」は、春、夏、冬の年3回、機能アップデートが行われる。

「 Essentials」が他のエディションと異なる点は「ユーザー数が5名まで」「カスタムオブジェクトの改変ができない」の2点。利用できるのは同社のサービスを初めて利用する企業のみとなる。月額料金は、1ユーザー当たり3000円(税別)。