日立情報通信エンジニアリングは5月15日、対象の状態を認識し、その先を予測するソフトウェア「状態予測エンジン」を6月1日から販売を開始する。価格は個別見積もり。
新製品は、製造装置の故障予測に基づいた先行対策による生産効率の向上や、人物の動きの予測から危険な予兆を捉え回避策を講じることが可能になるという。
独自のアルゴリズムにより、画像情報やセンサデータとパターン認識や経験則により生成する識別辞書からリアルタイムで先の状態を予測し、異常に至ると判断した場合は警告や対策案を提示する。
例えば、製造業においてFA(ファクトリーオートメーション)機器の稼働中に振動センサや音響センサ、電流センサなどの出力データを監視し、それらのパターン変化から対象機器の内部状態の変化を予測するという。
正常と異なる状態変化を検出し、そこから異常の予兆を捉えて対策を講じることで、製造設備などの故障や生産品の破損事故を未然に防ぐほか、監視カメラにより車両や人物の動きを識別し、先の動作・進路予測から危険な予兆を捉え、回避策を講じるなどして事故防止を支援するとしている。
また、リアルタイム性を追求するため端末に近いエッジ側に構築する識別用エンジン、精度を高めるため大量のデータを分析するためクラウド側に構築する学習用エンジンと、分離搭載が可能であり、効率の良いシステムを実現できるという。
さらに、リアルタイム性を必要としない定点観測や状態診断の場合は、両エンジンをクラウド側に構築することも可能とし、リソース管理や保守運営負担の軽減を可能としている。
主な特徴として「独自開発アルゴリズム」「ユースケースに応じた機能タイプの提供」「ユーザーの環境やニーズに応じた柔軟なシステム構築」の3点を挙げている。
独自開発アルゴリズムでは、深層学習(ディープラーニング)により時系列パターンを学習し、動作モードごとの状態を自動検出する。正常状態からの逸脱を時系列で監視し、早期故障予測や予測精度向上に対応するという。
ユースケースに応じた機能タイプに関しては、ML(マシンラーニング)識別、動き予測、状態評価の3タイプがあるという。
ML識別では、画像・音声・センサデータなどの特定パターンの認識・識別を可能とし、動き予測では、入力画像などにより対象物の動きや変化を分析して危険や障害を予測し、移動を追跡する。状態評価では、分析機器やシステムの潜在的な内部状態遷移を予測し、故障・障害を未然に回避するとしている。
ユーザーの環境やニーズに応じたシステム構築については、組込み型、オンプレミス型、クラウド型の3タイプを挙げる。
組込み型は、市販の組込みボードに搭載し、ユーザー設備・機器などへ内蔵でき、オンプレミス型はPCサーバに搭載し、ユーザー拠点に設置・運用する。クラウド型はクラウドサーバ上で実行し、ネットワークを介して処理結果を通知するという。