ライムライト・ネットワークス・ジャパンは5月15日、都内でビジネス戦略発表会を開催した。発表会には米国本社からCEOのロバート・A・レント氏が来日し、説明を行った。

冒頭、レント氏は「われわれはCDNを軸に事業展開しており、ミッションとしては顧客のデジタルコンテンツを安全に管理し、世界中どこからでも、どのようなデバイスに対しても信頼性とパフォーマンスを提供することだ」と述べた。

  • 米国本社 CEOのロバート・A・レント氏

    米国本社 CEOのロバート・A・レント氏

現在、ネット上で配信されるコンテンツは多岐にわたり、同社が注力しているのは「オンデマンド・ライブビデオ」「ソフトウェア・デジタルメディアダウンロード」「Webコンテンツ」「IoTとエッジコンピュート」の4つ領域となる。

マーケットのトレンドとしては、コンシューマ向けトラフィックの82%がビデオになることが見込まれており、2015年から2020年までの間にモバイルデータトラフィックは8倍になり、IoTデバイスは2020年までに263億台がIPネットワークに接続され、サイバー攻撃は2016年に98%の企業が経験している。

1秒未満の低レイテンシを実現するサービスを第3四半期に提供

同社では、2018年第3四半期にグローバルにおいて1秒未満のレイテンシでストリーミングを実現するサービスの提供を開始する。レント氏は「現状ではレイテンシは30秒と言われており、コンテンツをリアルタイムで楽しめないことがある」と指摘。

新サービスはシンプルなワークフローであり、最先端の動画コンテンツ配信技術であるアダプティブビットレート、ストリーミングセキュリティを備え、プラグインなしでブラウザ間のボイスチャットやビデオチャット、ファイル共有が可能なWebRTCフォーマットとなる。企業は開発に時間を要することなく、多様な端末にコンテンツを提供できるという。

  • 新サービスの概要

    新サービスの概要

一方、同社ではIoTのエッジコンピューティングにも注力する。レント氏は「IoTは顧客体験の向上、コスト削減が期待できるが、安全性を高めることも重要である。この10年間ではクラウドが普及し、巨大なDCを設けている。クラウドに対してエッジはエンドユーザーに近いということが挙げられる。われわれはローカルにプレゼンスを持ち、分散型ストレージを有するほか、グローバルのバックボーン+ピアリング、高度な運用を可能としているため、エッジコンピューティングに対する強みを持っている」と、強調した。

すでに、GEのベンチャー子会社であるAvitas Systemsは、パイプライン監視をドローンで行っており、ライムライトのプライベートネットワークを活用している。

これまでAvitas Systemsは、大規模クラウド事業者のサービスを利用し、ドローンで撮影した動画をエッジに蓄積した上で、クラウド経由でビデオストリームとアラートを出していたが、一連の作業をライムライトが担い、デジタル工業検査のクラウド機能の最適化を実現し、コストは同等ながら性能を10倍に向上させたという。

  • Avitas Systemsの事例の概要

    Avitas Systemsの事例の概要

同氏は「産業用検査は年間400億ドルの市場規模があり、Avitas Systemsのようなパートナーと組むことで、産業用検査領域のコスト削減や効率性の向上が図れるため、よりよいサービスを提供できることに気付いた」との認識を示した。

日本における事業展開

日本における事業展開についてはライムライト・ネットワークス・ジャパン カントリーマネージャーの田所隆幸氏が次のように説明した。

「日本ではグローバルに準じる形となるが『エッジコンピューティング』『低レイテンシライブ配信』『Webセキュリティ』『中国向け配信』の4つの領域に取り組む」

  • ライムライト・ネットワークス・ジャパン カントリーマネージャーの田所隆幸氏

    ライムライト・ネットワークス・ジャパン カントリーマネージャーの田所隆幸氏

エッジコンピューティングについては、IoTでは大量のデータ解析・分析などのワークロードを迅速かつセキュアなネットワーク環境(帯域幅の大きい)で処理が必要であることから、同社のCDNインフラストラクチャを活用することで低レイテンシを実現するとともに、エッジコンピューティングのワークロードはCDNのワークロードで補助。

これにより、顧客のアプリケーション(ワークロード)とニーズを理解し、PoC(Proof of Concept:概念実証)を行い、日本においてもAvitas Systemsと同様の事例を年内に数件発掘するという。

  • エッジコンピューティングの概要

    エッジコンピューティングの概要

低レイテンシライブ配信に関しては、ライブストリーミングの高まりや複雑なワークフローからの解放、低レイテンシなサービスの提供が求められるため、同社のプライベートバックボーンの強みを活かし、品質向上を継続的に実施することで対応する。同社では、リアルタイム性が求められるライブストリーミングのサービスを提供している顧客を開拓する考えだ。

  • 低レイテンシライブ配信の概要

    低レイテンシライブ配信の概要

Webセキュリティでは、悪意のあるBotの増加によるDoS攻撃やデータ流出被害の増加に対応するため、多層防御戦略を進める。これにより、従来からのDAI(Dynamic ARP Inspection)、WAF(Web Application Firewall)に加え、BOT Manager/Advance BOT Managerを既存顧客、新規顧客に積極的に展開することで、顧客のWebサイトを悪意のあるBotから保護するという。

  • Webセキュリティの概要

    Webセキュリティの概要

中国向け配信については、日本企業による中国向けビジネスの高まりや規制に伴いビジネスが困難であることから、中国国内配信サービスを提供している複数の配信事業者とのパートナリングを強化し、ニーズに合わせた中国国内への高速な配信サービスを提供。また、中国向けビジネスを検討中、あるいは課題を持つ顧客に対し、サービス提供を加速させていく方針だ。

  • 中国向け配信の概要

    中国向け配信の概要