5月9日(水)より3日間、東京ビッグサイトで開催された「2018 Japan IT Week 春」。IoT関連の製品・サービスやソリューションが展示された「第7回 IoT/M2M展」の会場となった東京ビッグサイト西ホールは、連日数多くの来場者で賑わいを見せていた。コンシューマーに身近な“住まいのIoT”や、製造業における業務効率化などでも利活用が進むIoTに対する注目の高さがうかがえるなか、本稿では農業や漁業、建設現場で有用なソリューションを提案していたNTTドコモブースの様子をお届けしていこう。
NTTドコモブースでまず目に留まったのが、建設現場にIoTを用いることで建設生産プロセスの変革を加速させる建設ソリューションの展示だ。このソリューションは、NTTドコモをはじめ、小松製作所やSAPジャパン、オプティムら各業界のトップランナーのコラボレーションによって誕生したIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」の展示となっており、コーナーには建設現場を模したジオラマが用意されていた。NTTドコモでは、国土交通省が提唱する「生産性革命」の展開に寄与するべく、建設現場の工程・品質・安全・原価管理に関するIoTプラットフォームを提供していく。
また、一次産業におけるIoTの利活用も提案されていた。農業分野での提案として展示されていた「FieldServerVI」は、露地栽培やハウス栽培などの農業支援システムとなっており、温度や湿度、日射センサー等により遠隔地からでも環境監視が行えるというもの。導入することによって、収穫時期の見極めや農薬・肥料散布の効率化、病害虫の発生予測が行えるのだが、一番の恩恵はスマートフォンやタブレット端末でいつでもどこからでも確認することができることにあるのではないだろうか。
漁業分野においての提案として展示されていた「ICTブイ」は、海洋環境の見える化を図るシステムだ。この「ICTブイ」を用いることで、水温と塩分濃度(オプションで溶存酸素(DO)やクロロフィル、濁度等のセンサーも用意)をモニタリングし、今までは経験や勘で行っていた部分をデータで補うことを可能にするという。現在、海苔や牡蠣の養殖事業者と実証実験を行っている最中だとは解説員の言葉だが、データの蓄積・見える化により従来暗黙知であったものが可視化され作業効率の向上はもちろん、後の担い手の育成にも繋がるのではないかとのこと。こちらも「FieldServerVI」同様、スマートフォンやタブレット端末で離れていた場所であっても現場の環境を知ることができ、漁場を確認しに行くための人的・燃料等のコスト削減にも繋がるという。
働き方改革に関連するソリューションも展示されていたが、なかでも筆者が気になったのは自動販売機向けスマートフォン一体型ハンディーターミナル「AsReader(ASR-060D)」だ。解説員の話によれば、例えば飲料の自動販売機の場合、売上データのチェックや残存商品の確認・補充などで多大な手間が掛かっていたそう。そうした部分を「AsReader(ASR-060D)」を用いることで効率化し労力を削減することができるという。アプリケーションを独自に開発することも可能で、より一層の業務効率化を図ることも可能となっている。
また、昨今危険運転等の問題が叫ばれるなか時流を掴んだソリューションも展示されていた。NTTドコモらしく通信機能が搭載されたそれは、危険運転の映像や事故状況等をクラウドへ送信し記録。車両管理者は万一の事故にも即座に状況を把握・対応することが可能になるというもの。日常の運転を見える化することによってドライバーの安全運転度をチェックすることや、車両運行・運用管理の効率化、テキストメッセージを用いてドライバーとの双方向のコミュニケーションを行うことが可能だという。これらのソリューションは、既に「docoですcar Safety」「docoですcar NEXT」、「ドコモ ドライバーズサポート」という名称で主に法人向けに展開されているので、気になる方はチェックしてみてはいかがだろうか。