5月9日(水)~11日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて約1700社のIT関連企業が一堂に会する展示会「2018 Japan IT Week 春」が開催された。連日、数多くの来場者が詰めかけ、最新の技術やソリューションに触れながら自社の成長に繋げられるものはないかと真剣に吟味する姿がそこかしこで見受けられた。本稿では、今急速に技術開発はもちろん様々な分野の企業への導入が進められているIoT関連の商材が集められた「第7回 IoT/M2M展」会場より、連日大賑わいを見せていたNECグループブースをピックアップしてお伝えしていこう。
NECグループでは、リアルとサイバーをつなぎ合わせて新たな価値を創造し、暮らしやビジネスをより良く変えていくデジタルトランスフォーメーションをテーマに、地球との共生や安全・安心な都市・行政基盤、安全且つ高効率なライフラインや豊かな社会を支える情報通信基盤、産業とICTの新結合や枠を超えた多様な働き方の実現、個々人が躍動する豊かで公平な社会という7つの社会価値創造に取り組んでいる。
筆者が注目したのは、「CyberWorkBench」と名付けられた設計開発ツールだ。AI・IoT処理をFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いることで加速させるというこのツール、画像認識や顔認識、ディープラーニング等のソフトウェアを短期間のうちにハードウェア化したい、AIやIoTのリアルタイム処理を高速且つ省電力化したいといったニーズに応えてくれるという。ブースでは、車載カメラの映像をリアルタイムに解析し、「止まれ」や「車両通行禁止」等の道路標識を識別させるデモンストレーションが行われていた。解説員の方によれば、デモのような自動車に関連した分野以外でも、例えば工場のラインにおける製品チェックなどでも利活用が進んでいるとのこと。
次いで注目したのが、生体信号データを活用したNECが考える「働き方改革」へのアプローチを紹介していた生体データIoTコーナーだ。人材不足やそれに起因する長時間労働など、従業員の体調不良やメンタル不調が社会問題となるなか、ウェアラブルデバイスやクラウド等を利活用しヒトの生体データを可視化することで、素早く次の一手を打とうというものだ。 展示コーナーでは、腕時計タイプのウェアラブルデバイスを用いて心拍数を検知し、独自のアルゴリズムで分析を行い“ラッセルの感情円環モデル”をテンプレートに感情を分類するという事例が紹介されていた。見える化されたデータは従業員の状態の把握に利用できるのはもちろん、業務履歴や勤怠データなどと組み合わせることによって、より的確なアドバイスや配置に結びつけることが可能になるのでは、と解説員の方。この生体データIoTにより、従業員の体調やメンタルの状態を把握することで、快適に業務が行える環境作りをサポートし、事故の防止や離職率の抑制、生産性の向上に寄与できるのではとのことだった。
このほかにもNECグループブースでは、離れた場所から視線の方向を検知することができる遠隔視線推定技術や、耳音響認証技術やヒアラブルデバイスの提案などが来場者の注目を集めていた。パブリックからプライベートまで。様々な社会価値の創造を包括的に支援してくれるNECグループのソリューションによって、今後どのような価値が生み出されていくのか期待膨らむ展示だった。