3D NANDフラッシュメモリメーカー各社がそろって生産能力を増加させ、併せて習熟曲線に乗って製造歩留まりが向上してきたため、NANDフラッシュメモリの供給が潤沢となり、在庫が増えている。この結果、NANDフラッシュメモリを搭載したeMMC/UFS(embedded Multi Media Card/Universal Flash Storage)の価格が低下している。
台湾の市場動向調査企業TrendForceによると、ミッドレンジおよびハイエンド・スマートフォン(スマホ)のメモリ容量の増加に伴い、現行のUFS(64/128GB)から128/256GBへとNANDの容量が増加する傾向にあるが、UFSの価格が低下気味であることも後押しになっているという。同社は、「eMMCの大口契約価格は、2018年第2四半期に前四半期比で0~5%減、UFSも同5~15%減と低下する」との予測を公表している。
ただし、2018年第3四半期は、NANDのビット供給量が第2四半期よりも多くなる可能性が高いが、同社では、NANDの供給そのものはむしろひっ迫すると見ている。最大の要因は需要のピークシーズンが到来すること、ならびに次世代iPhonesの発売準備で大きな需要が期待できるからである。したがって同四半期のeMMC/UFS価格の下落は5%以内に留まる可能性が高いとしており、価格の動向も比較的安定するとの見方を示しているが、次世代iPhoneの売れ行き次第では、eMMC/UFSの価格に影響を与える可能性があるとしている。
米Qualcommや台MediaTekのような大手チップメーカーが提供するミドルレンジ〜ハイエンドスマホ向けアプリケーション・プロセッサの多くはUFSをサポートしている。UFSのサプライヤは、韓Samsung Electronics、韓SK Hynix、東芝、米Micron Technologyなどであり、その普及率はミッドレンジでは低いものの、ハイエンドではかなり高い状態だという。ミッドレンジスマホの現在の主流は、eMCP(embedded Multi Chip Package)であり、これをuMCP(UFS-based MCP)がどの程度の速さで置き換えていくかが、今後のミッドレンジへのUFS普及割合の向上に対する試金石になるという。しかし、需要が不透明なため、アプリケーション・プロセッサのサプライヤは保守的な見方をしており、サポートも不十分なほか、ユーザー側も、仕様のアップグレードをほとんど認識することがない状況であるため、スマホメーカーもuMCPへの移行意欲はそれほど高くないとする。
とはいえ、大手スマホメーカー各社は5G技術を積極的に展開しようとしており、今後、スマホの性能を向上させていくことに向け、2018年下期にはより多くのアプリケーションプロセッサがuMCPをサポートし、その一部が次世代のミッドレンジスマホに適用される見通しだとも同社では説明しており、この結果、「スマホでのUFS普及率は、今後1〜2年で高まりを見せるもの」との予測を示している。