NTTと松竹は5月9日、エンターテインメントビジネスの実現に向け、歌舞伎と最新のICT技術のコラボレーションによる新たな歌舞伎の商用公演(興行)を共同で実施する、業務提携を行うことで合意した。
両社は2016年以降、新たな歌舞伎鑑賞の提案を目指す共同実験を通じて、離れた場所でも目の前で演じているかのような歌舞伎映像を鑑賞できる「歌舞伎シアターバーチャル座」や、リアルとバーチャルが融合した世界初という歌舞伎舞踊「京結夢現連獅子(みやこむすびゆめのれんじし)」などを行ってきたという。
その取り組みをさらに進めて、実際の歌舞伎公演などにおけるICTの利用を深化させることで、集客力を高め、事業性の向上を図り、新たなエンターテインメントビジネスの実現を目指していくことで合意した。
具体的には、松竹が保有・経営する京都南座が、大規模改修工事を経て2018年11月に新開場することを捉え、2019年~2021年の3年間において、従来から両社で実施している実証実験に加え、ICTを利用した歌舞伎などの両社による共同公演を南座から実施し、順次拡大していく。
共同公演では、NTTの研究所が開発したイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」などの技術を利用することで、出演者が観覧者の目の前で驚く映像・音響演出を実現し、歌舞伎の楽しみ方を広げる新たな「おもてなし」を提供。
これにより、これまで実現が難しかったリアルな歌舞伎俳優と擬似3D虚像との共演なども、実現可能になるという。リアルとバーチャルが相互に補完することを通じ、日本文化の伝統を継承しつつ新たなマーケットの創出につなげていく。
また、革新的なUI(ユーザーインタフェース)・メディア技術を応用した新しい情報提示技術、情報配信技術を用いて、顧客満足度向上を図るとともに、新たなエンターテインメントビジネスを視野に入れた劇場空間の利用・体験型コンテンツの製作も検討していく。これらの共同公演の詳細は、両社で今後検討を予定している。
今後は、2019年~2021年の3年間の共同公演などによりビジネス性を検証し、歌舞伎およびそのほかのエンターテインメントとICTとの融合によるビジネス拡大を目指す。インバウンドや若い世代などの新たなマーケットでの多様な事業機会にも対応できるよう、両社でエンターテインメント分野の知見を蓄積していく。