NTTファシリティーズは5月8日、ドイツのStulzと共同で開発した超高発熱ICTラックに対応した空調機「CyberAirリアドア型」の販売を開始した。
新空調機は、ICTラックの背面に取り付け、超高発熱・大風量というGPUサーバの運転特性に合わせた仕様とすることで、超高発熱のICTラックの冷却に対応するという。
主な特徴として「高い発熱処理の実現」「GPUサーバの排気特性に適合した仕様の実現」「新空調機に適した気流システムの開発」の3点を挙げている。
高い発熱処理の実現では、CyberAirリアドア型はサーバから排出される高温空気を直接冷却する構造のため、高い発熱処理能力を有するという。
壁際に設置された空調機からの冷気で冷却する従来の空調方式では、1ラックあたり10kW程度が冷却の限界と見込まれているが、CyberAirリアドア型は1ラックあたり20~30kW程度の発熱を伴うGPUサーバ搭載ラックの冷却にも対応するとしている。
GPUサーバの排気特性に適合した仕様の実現については、実稼働しているGPUサーバの運転状態を実測することで、冷却に必要となる風量と排気温度上昇幅の2点の特徴を具体的に把握し、重要な配慮事項と考えて仕様を検討。GPUサーバが必要とする大風量に対応するためにファンを搭載するとともに、実測結果を考慮したファン選定や冷却コイルの設計を行うことで、GPUサーバの運転に適合させているという。
新空調機に適した気流システムの開発に関しては、ICTラックからの排気が集まる空間の一部を閉塞することで空気の混合を促し、空調機故障により一部のICTラックからの排気が冷却されない場合でも、高温の排気が直接サーバの吸い込み側に戻ることを回避するという(当該気流システムについて特許出願中)。
同社は、日本におけるStulzの戦略的パートナーとして、これまで提供してきたCyberAir下吹型、壁吹型(旧称:CyberAir3)と合わせ保守サービスを提供。保守サービスの提供に際しては24時間365日設備の状態を監視するだけでなく、通信設備の保守で培った実績・ノウハウを有する保守拠点を活用し、定期点検・故障駆付け・修理といった一連の保守メニューを提供するとしている。
同社ではCyberAir下吹型、壁吹型、リアドア型を水冷空調機「CyberAir」シリーズとして展開を強化し、リアドア型単体で今後5年間で5億円の受注を目指す。
また、間接蒸発冷却式空調システム「Munters DCiE」、空冷空調機「FMACS*4」、空調機自動制御システム「Smart DASH」など、同社が保有するデータセンター(DC)冷却ソリューションにリアドア型を追加することでフルラインアップ化を図り、DCの規模や発熱量に応じた最適なソリューションの提供を通じてDC事業を拡大していく考えだ。