PFUは、製造・生産現場における高度化・効率化のニーズを受け、IoTやAIなどのデジタル技術を活用した産業向けエッジコンピューティングシステム製品を拡充すると発表した。それにともない、産業インタフェースを拡充する「MECHATROLINK-Ⅲマスタカード」、データ格納の高可用性を実現する「組み込みストレージ」と「ソフトウェアRAID」、データ処理を高速化する「NVIDIA Quadroカード」オプションが販売される。

  • 組込みエッジコンピューティング構想

    組込みエッジコンピューティング構想

今回販売開始される製品群は、データ解析、データ保全・蓄積、セキュリティ対応の機能を充実させ、現場でのリアルデータ活用を実現するエッジコンピューティングシステムを強化するためのもの。近年、産業機器、医療機器、社会インフラなどの市場において、IoTやAIの技術を活用し、装置やセンサーから得られる大量のデータを、生産性向上やコスト削減、良否判断精度の向上、設備の予防保全に有効活用する取り組みが始まりつつある。さらに、製造・生産現場や医療現場などの、データを生成する装置やセンサー、コントローラにおいて、収集・蓄積したデータをリアルタイムに活用したいというエッジコンピューティングの要望も高まっているという。

  • 新製品とエンベデッド製品全体のラインナップ

    新製品とエンベデッド製品全体のラインナップ

そこで同社は、エッジコンピューティングシステムの重要な3つの技術要素である、「産業ネットワーク」、「組み込みストレージ」、「組み込み向けAI」の機能を拡充。まず、「産業ネットワーク」の要素においては、ACサーボを使用するための産業ネットワークのひとつとしてMECHATROLINK-Ⅲのサポートが要望されているため、専用ICによる高速レスポンスを実現した、産業向けエッジコントローラのインタフェースを拡充する「MECHATROLINK-Ⅲマスタカード」が提供される。

また、「組み込みストレージ」の要素においては、装置内の増加するデータ格納のニーズを受け、組み込みにおけるデータ蓄積・管理のためのストレージ製品が新たに提供される。これまで提供していたRAIDカードに加え、ハードウェアの追加なく安価にデータ保護を実現する「ソフトウェアRAID」、ならびに、組み込み市場の省スペースの要求に応え、複数のコンピュータで実現していた処理とストレージ機能を一台のコントローラで実現した「組み込みストレージ」の販売が開始され、これにより、組み込み向けストレージ製品に対する機能、性能、コストといった多様なニーズに応えることができるという。

さらに、「組み込み向けAI」の要素においては、産業機器、医療機器、社会インフラなどの市場でAI、特にディープラーニングを装置内で活用した高度化、効率化の要望が高まっていることを受け、ディープラーニング処理、GPGPU処理を高速に行う「NVIDIA Quadroカード」が、組み込みコンピュータARシリーズのオプションとして追加され、医療機器等の高精細大容量画像の処理が必要な大型装置への組み込み向けに提供される。

なお、同製品群の出荷開始時期は、AI400シリーズ 「MECHATROLINK-Ⅲマスタカード」、AW400シリーズ 「ソフトウェアRAID」、NVIDIA Quadroカード(オプション)が11月末、AW3000シリーズ 「組み込みストレージ」が2019年1月末の予定となっている。また、同製品群は、5月11日まで東京ビッグサイトで開催される「第7回 IoT/M2M展」にて展示される。