日本電気(NEC)と川崎市は5月9日、中商、資源循環ネットワークと共同で実施した「川崎エコタウンにおけるIoTを活用した資源循環システム高度化に向けた実現可能性調査」において、同事業で構築した産業廃棄物等収集運搬システムによる低炭素化への有効性を確認するとともに社会実装に向けた課題を抽出することに成功したと発表した。

同事業は環境省の「平成28、29年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(低炭素型廃棄物処理支援事業)」の採択を受けて実施されたもので、実証事業期間は2016年度~2017年度だ。

  • IoTで廃棄物回収ルートの効率化を実現

    実証実験の様子(川崎市立川崎病院)

同事業で構築したIoTを活用した産業廃棄物等収集運搬システムでは、川崎市立病院の廃棄物ヤードにカメラなどのセンサーを設置し、その撮影結果から廃棄物の蓄積状況を把握。この蓄積状況をもとに病院周辺のクリニックも含めた適切な回収ルートを作成し、効果を検証した。その結果、削減可能な車両運行距離が約9.2%と評価され、その有効性が確認できたという。

また、制度運用面、商慣習面、排出品目や排出場所等の特性を見据えた技術面の課題など今後の社会実装に向けた課題の抽出も行うことができたとしている。

NECは、今回得られたノウハウを活用して、同システムのさらなる高度化を行い、今後の低炭素化に向けた取り組み強化や事業化の検討を進める。川崎市は、川崎エコタウンの特徴である「臨海部における高い企業集積と環境技術の集積」を活かし、引き続き、国内外の資源循環の促進に向けて取組を進めていくとしている。