ファーウェイ・ジャパンは5月8日、東京錦糸町にある同社のオープンラボを公開するとともに、NB-IoT(Narrow Band IoT)の特徴と世界動向、活用事例を紹介するプレス向け説明会を開催した。

同ラボは、ユーザー向けの検証ラボで、2017年9月に開設。ファーウェイ・ジャパン初の NB-IoTオープンラボとなっている。

同施設には、外部に電波を漏らすことなく、密閉された空間の中で、NB-IoTの環境を構築でき、ユーザーは施設内に自社の環境を構築し、検証が行える。NB-IoTの電波はキャリアごとに切り替えられるほか、基地局からの距離を想定し、出力を変更できる。また、コアアプリを動作させるためのサーバ等も用意されている。

  • 密閉された空間でNB-IoTの検証が可能

  • コアアプリを動作させるためのサーバ施設も備える

同社では、中国やドイツ、メキシコ、UAE、タイ、日本にオープンラボがあり、通信事業者との共同のオープンラボ8個を含めるとワールドワイドで計18個のオープンラボを持つ。

  • グローバルでのオープンラボ

ファーウェイ・ジャパン 技術戦略本部 キャリア技術戦略部 部長 郭宇(かく・たかし)氏は、日本にラボを設ける理由を、「すでにグローバルでサービスが提供されている場合でも、日本で展開するためには、日本のローカルの規則、法令などに対応させることが必要があり、こういった法令に熟知したパートナー向けの検証施設が必要だ。また、日本はセンサーに関する技術があり、そういった場所にラボを設けることで、成果が出やすくなり、それをさらにグローバルに展開できる」と説明した。

  • ファーウェイ・ジャパン 技術戦略本部 キャリア技術戦略部 部長 郭宇氏

同氏は、NB-IoTのメリットとして、消費電力が少なく10年間という長期のバッテリー寿命があること、20dBのカバレッジゲイン(厚いコンクリートの壁2枚程度なら通すことができる)、5ドル程度とモジュールが安価、1台のセルで5万台をカバーできる点、既存の4Gネットワーク上で実現できる点、キャリアグレードの信頼性や4Gと同等以上のセキュリティがある点などを挙げた。

  • NB-IoTのメリット

同社では、NB-IoTに関してセンサーとアプリケーション以外のプラットフォームを提供。センサーとアプリは、パートナーとのエコシステムによって提供するという。

  • ファーウェイのNB-IoTに関するカバー領域

郭氏は、同社の最近の事例として、中国の鷹潭(ようたん)市のスマートシティを紹介。同市では、水道メーター、街中の駐車場、街灯、マンホール蓋、ゴミ置き場、シェア自転車などにNB-IoTを利用しており、NB-IoT基地局は970、接続数は10万(2017年末現在)を数えるという。

  • 中国の鷹潭(ようたん)市のNB-IoT事例

水道メーターは、単に検針作業を軽減するだけでなく、漏水場所の特定にもつながっており、同市では漏水率を20%から12%に削減できたという。

  • スマートメーター事例

そのほかドイツでは、ポストの投函状況を監視することで、集荷回数を60%削減したほか、牛の行動監視に利用することで、乳牛の繁殖期の把握できる確率を75%から95%に引き上げることに成功したという。

  • ドイツのポストの投函状況監視のNB-IoT事例

  • 牛の繁殖時期を把握するコネクテッドカウ