台湾TrendForceの半導体メモリ市場調査部門DRAMeXchangeは、中国国家発展改革委員会(National Development and Reform Commission)が2018年第1四半期に行った、モバイルDRAMの価格に関する介入の結果、2018年第2四半期のモバイルDRAM価格は、見積もり単価としては前四半期比で平均1%以内に留まる見通しであること、ならびにeMMCとDRAMを1パッケージに統合したeMCPについてはNANDの価格下落により平均して同1%の下落となる見通しとの見解を示した。
また、スマートフォン(スマホ)の生産が繁忙期を迎える2018年第3四半期については、SK HynixとMicron Technologyがウェハの投入枚数を増加させることが期待されるほか、プロセスの微細化ならびに歩留まりの改善により、供給量が増加し、不足感が薄らぐことが期待されるとしている。そのため、同四半期の大口契約価格の全体的な傾向は、第2四半期から顕著に乖離することはないとの見方を示しており、その単価も前四半期比で同じか微増程度に収まるほか、eMCPは同じか微減となると予測している。
市場の需要の観点からメモリサプライヤは、できるだけ低価格で大容量NANDを搭載したeMCP製品を供給しようとしている。実際、Huawei、Xiaomi、OPPO、Vivoなどの中国の代表的スマホメーカーが2018年上半期に発売する旗艦モデルは、従来よりも大容量のNANDを搭載したeMCP製品を採用したものが多い。具体的には、2017年の主力製品で主流であった「64GB+32Gビット」から「128GB+48Gビット」へとアップグレードされる予定だという。
eMCPのNAND容量が増えると、3D NANDの生産拡大にともなうNANDの供給過剰による価格低下を緩和することにつながる一方で、併せて搭載されるモバイルDRAMの供給不足を引き起こす可能性がでてくる。特にLPDDR4Xは、2018年下半期に次世代iPhoneや各社のAndroidの旗艦モデルのリリースにより上半期以上に需要が増すことが予測されることから、スマホメーカーにとってLPDDR4Xの供給量を確保し、価格交渉を優位に進めることは難しくなる可能性がある。
なお、2018年上半期にPCおよびサーバ向けDRAMの価格は上昇しているが、これにつられてモバイルDRAMの価格が上昇することはないとDRAMeXchangeは見ている。これは、メモリの容量の仕様が異なるためだが、市場としてはスマホベンダが直面しているコスト上昇に対する圧力を考慮する必要もあるためだ。DRAMサプライヤが契約価格を引き上げれば、スマホベンダは1台あたりのメモリ容量の増加を控えることとなる。こうした需給のバランスの結果、モバイルDRAMの価格は、上昇圧力と下落圧力がぶつかり調和され、現状の安定した状況となっているとDRAMeXchangeは述べている。