オートデスクとゼネラルモーターズ(GM)は、将来利用される車やトラックを開発する上で重要な要素になる次世代の軽量化を目指した技術提携を締結したことを発表した。
今回の提携では、オートデスクのジェネレーティブ デザイン テクノロジーと3Dプリンティングなどのアディティブ マニュファクチャリング(積層造形)を融合させ、車両開発の重要なテクノロジーとして両社が協力する。
GMは従来の設計最適化技術では成し得なかったレベルの軽量化を実現するため、オートデスクのジェネレーティブ デザイン ソフトウェアを導入した。これにより、これまでにない速さで製造可能なオプションが提示され、その中から設計案を選び出すことが可能となり、設計者は反復的な設計作業ではなく、部品の性能を最大化させるなど価値の高い作業に集中できる。また、自動車の軽量化は消費する燃料を減らし、二酸化炭素の排出量が削減されるだけでなく、消費者にとっても経済的で重要な要素となる。
両社がこれまで行った概念実証プロジェクトでは、GMとオートデスクのエンジニアが、米国ミシガン州にあるGMの技術開発拠点でジェネレーティブ デザインを使い、シートベルトを固定するシート ブラケットの設計見直しを行った。具体的には、エンジニアが他の部品との接続場所、強度、質量要件などのパラメーターを設定し、ジェネレーティブ デザイン ソフトウェアで150通り以上の有効な設計オプションを導き出し、人間では考えも及ばなかった有機的構造を持つ設計案を1つ選択した。この設計案は、従来の部品と比べて重量を40%削減しながら、強度は20%向上している。
さらにこのプロジェクトでは、部品の統合というジェネレーティブ デザインの大きな特長を証明した。見直し後の設計では、従来8種類の部品から構成されていたコンポーネントが1つの部品に統合された。
GMは30年以上に渡り、最先端の3Dプリント機器を活用しており、現在も50台の高速試作機器を運用し、過去10年間で25万個以上の試作品を制作してきた。
今回のプロジェクトで両社は、ジェネレーティブ デザイン、アディティブ マニファクチャリング、材料科学関連のプロジェクトで連携を予定している。これらの分野の担当役員やエンジニアらは今後現場で打ち合わせを行い、アイデア、成果、専門知識を交換する予定だという。
オートデスクは今回の提携の中で、ソフトウェア技術者の支援やあらゆるソフトウェアをGMに提供する。これに伴いGMでは、ジェネレーティブ デザインと合わせて利用する「Autodesk Fusion 360」や、ラティス構造の最適化や金属積層造形のシミュレーション、3Dプリント時の熱変形、収縮、亀裂伝播などの問題を回避するソフトウェア「Netfabb」が使用されているほか、「Alias」「Recap Pro」「Meshmixer」なども使われている。
GMは、自動車の重量と材料の削減により、燃料消費量の削減だけでなく、電気自動車への適用や、車内空間の快適性に広げる未来を描いている。これらの新技術によって、「自動車設計者は、現代にはないデザイン・設計や形状を探求」することが可能となったとしている。