デロイト トーマツ コンサルティングは、「世界の小売業ランキング2018」日本語版を公開した。

「世界の小売業ランキング2018」は、Deloitte Touche Tohmatsu Limitedが1月に発表した「Global Powers of Retailing 2018 Transformative change, reinvigorated commerc」の日本語版で48ページのPDF形式で公開、2017年6月を期末とする2016年度の公表データから世界各国の小売業のトレンドを追うレポートになる。

小売売上高を基にした全250社の上位10社では、ランキングに大きな変更は無いもののAmazon.com,Incが4つ順位を上げた6位に、米CVS Health Corporationが初の10位へ。日本企業でトップ250にランクインした企業は、2社増加の32社で最上位にはイオンがランクインしている。

  • 世界の小売業ランキング 上位10社同社資料より

    (世界の小売業ランキング 上位10社同社資料より)

  • 世界の小売業ランキング トップ250ランクインの日本企業 同社資料より

    (世界の小売業ランキング トップ250ランクインの日本企業 同社資料より)

急成長小売企業50社、地域別動向、商品セクター別の動向から過去15年の比較と充実した48ページのレポートには、読みやすい日本語やインフォグラフィックなどを活用し新たな動向も数多く掲載されているが、小売業の変容と再活性への道と題したレポートは、トレンドに4つのポイントを挙げている。

1.ワールドクラスのデジタル・ケイパビリティの構築

消費者から見ればネットかリアルか、どのチャネルを使うかは重要でなくオンラインとリアルを往来しながら購入へと至る消費者の姿が見えており、シームレスな購買体験は「あると受け入れられるもの」ではなく「なければならない必須要件」と各企業が認識を変えたことを述べている。また配送の能力がこれまで以上に必要となり、6位へと伸びたAmazonのWhole Foods Market買収や能力構築に投資する傾向を示している。

2.リアル×ネットの融合によるデジタル変革のロスタイム挽回

Amazonの投資戦略による急上昇を他の小売企業もデジタル化による投資で挽回しようとしている例を中国(52%増)、韓国(41%増)、英国(8%増)、フランス(7%増)とeコマースを通じた食品の売上でレポート(日米ともに5%増)。実売網を持つ企業、テクノロジーを持つ企業の買収によりリアル×ネットを融合させシェアを伸ばす例が増加している。

3.リアル店舗におけるユニークで強力な顧客体験の創造

世界の小売売上高の約90%が今なお、リアル店舗で上がっていることに言及し、リアル店舗でユニークな顧客体験を作り出そうとする小売企業の試みを紹介。フィットネスクラブと提携するスーパーマーケットチェーンHy-Veeや、スマートホームのショップ・イン・ショップ形態を展開するホームセンターチェーンのLowe's、ユニクロやZara、H&Mなどアパレルにおけるファッションサイクルの短縮など、各企業が消費者にいかにユニークな顧客体験を創出しようとしているかを指摘している。

4.最新テクノロジーで小売業を作り変える

Google Homeを活用した音声認識ショッピングをはじめるWal-Mart、中東全域を対象にAR/VR体験を採用するIKEA、上海の中国家電小売SuningやデンマークのスーパーCoop Danmarkなどの無人店舗などを引き合いに、全ての小売企業がIoTや人工知能、AR/VRやロボット技術に注目していくべきだと提言している。

ほか、地域別の動向の詳細や商品セクター別の動向、上位250社に新たに加わった企業の詳細など48ページにわたり世界の小売業の動向をまとめている。