新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、シーメットが、NEDOプロジェクトの成果をもとに、毎時10万cm3の世界最高レベルで造形する大型鋳造用砂型3Dプリンタ、Sand Casting Meister 「SCM-1800」を製品化したことを発表した。

  • 鋳造用砂型3Dプリンタ「SCM-1800」

    鋳造用砂型3Dプリンタ「SCM-1800」

NEDOプロジェクトにおいて、技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)は、高速で大型の鋳造用砂型3Dプリンタの研究開発に取り組んでいる。鋳造用砂型3Dプリンタは、木型の製作期間やコストが不要になるだけでなく、従来工法では制約のあった複雑な形状の鋳型に対しての制約が無くなり、一体でダイレクトに造形できるため、精度と作業性が向上し、かつ設計の自由度が広がる。TRAFAMは、これまでに世界最高レベルの造形速度の3Dプリンタ技術を開発し、その後、大型高速機としての運用実証と改良および鋳型の造形評価・鋳造評価を続けてきた。

シーメットは、これらの開発成果をもとに、従来同社製品の10倍の造形速度となる10万cm3/h、乾式砂を用いることで造形後の後工程作業時間の半減を実現し、約10倍の造形サイズ(1800mm×1000mm×750mm)を有する大型鋳造用砂型3Dプリンタを製品化した。同社は、砂型プリンタ「Sand Casting Meister」シリーズのラインアップに、今回開発した大型機「SCM-1800」を加え、5月7日から販売を開始する。

  • 量産対応時の小型中子の造形配置例

    量産対応時の小型中子の造形配置例

「SCM-1800」の特長は、鋳造用砂型3Dプリンタとして世界最高レベルの造形速度であるほか、高性能かつ作業性に優れた乾式砂と1液方式のため、鋳込み温度が高い鋳鋼にも対応可能であること。また、硬化反応を阻害する溶媒を減らせるため短時間で高い鋳型強度が得られること、造形後の硬化部分と未硬化部分の分離が良くエア噴射などによる砂除去作業が容易であること、造形部分以外の未硬化砂はそのまま回収して再使用が可能であることが挙げられる。さらに、1800mm×1000mm×750mmの造形サイズと10万cm3/hの造形速度を実現したことで、量産設備として従来工法に対する高い競争力が見込まれるということだ。

なお、造形方式はバインダジェット方式、販売先・市場は産業機械、自動車/機械工業、鋳造業、適応材料はCCS/専用バインダ、積層ピッチは0.28mm、受注開始日は2018年5月7日。