イタリアのCCH Tagetikの日本法人であるTagetik Japanはこのほど、都内でパートナーイベント「CCH Tagetik Partner Day 2018 Tokyo」を開催した。
同イベントには、CCH Tagetikの親会社であるオランダのWolters Kluwer Tax & Accounting CEOのKaren Abramson氏とCCH Tagetik Commercial Exective Vice PresidentのManuel Vellutini氏のManuel Vellutini氏らが講演を行った。
経理・経営企画部門に迫る変革の必要性
CCH Tagetikは、企業の経営管理プロセスの効率化とコスト削減、リスク低減を支援しており、顧客数は1000社に達し、大規模組織においてもフレキシブルに利用できるという。
Vellutini氏は「昨今では、レガシーシステムの置き換えやクラウド対応により、経理・経営企画部門では改革の必要が迫っている」と述べた。
実際に、それらの部門はクラウドや最新のテクノロジーの利用において、そのほかの部門より遅れている。また、大手企業のファイナンスシステムやプロセスの改革は実行に移せていないことから、今後数年のうちに改革に着手することが見込まれている。
このような状況下において、同社はミッションとして経理・経営企画部門の改革において最適なプラットフォームを提供することを掲げており、企業におけるデータに関して「収集&蓄積」「検証&管理」「変換&通知」の3つの価値を提供するという。
収集&蓄積では、多様なデータソースから粒度の細かいデータへのアクセス、新たな要件に対応するための新しいデータソースとの連携、経理・経営企画部門のニーズに対応するためのデータ構造を可能にする。
検証&管理については、拡張性があるファイナンスデータハブの活用、データソースから開示までのデータライフル全体の管理、データフロー・検証・アクセス・監査機能などができるという。
変換&通知に関しては、会社に関するインテリジェンスルール・知識の適用、詳細なデータをアクション可能な情報への変換、経理・経営企画部門の管理するシステムから監査可能なレポートを多様なフォーマットで出力することを可能としている。
SAP HANAとの親和性が高い「Finance Transformation Platform」
これらの業務を可能にするのが同社の「Finance Transformation Platform」となり、同プラットフォームはFinancial WorkspaceとAnalytical Workspaceの2つのレイヤで構成されている。
Finacial Workspaceは従来の経理プロセスを管理する層であり、例えば予算立てやレポーティングなどが該当する。
そして、技術のコア部分がAnalytical Workspaceだ。Vellutini氏は「大量のデータを情報に変換し、組織の経理プロセスをデザインする際の基盤となり、レポーティングやオペレーショナルプランニング、収益のモデリング、さまざまなデータソースからデータの生成など、多様なプロセスに展開できる」と、強調する。
2月にはアプリケーションのマーケットプレイスを開設しており、ソリューションでGo-To-Marketを行うほか、プロトタイプを作成するスターターキットなどを提供。
また、Finance Transformation PlatformはSAP HANAのプラットーフォーム上で展開でき、システム上の効果として拡張性のあるアーキテクチャでAnalytical Workspaceの取引データに近い粒度のデータを扱え、予測分析やリアルタイムのアクセスを可能としている。
同氏は「今後、パートナーの立ち上げとパートナー認定制度の改善、グローバル再販プログラムの活用などに取り組む」と意気込みを語っていた。
AIや機械学習で顧客の業務を効率化
Wolters KluwerのTax & Accounting部門は1836年に設立し、アムステルダム証券取引所に上場しており、売上高は13億ユーロ、120カ国以上の顧客にサービスを提供し、20カ国以上で事業展開している。
同社は会計、法律、経理および税務の専門家向けソリューションを展開しており、新製品開発投資に年間収益の10%以上を投じ、米国、インド、スペインに開発センターを構え、経営企画・経理・財務向けソリューションにフォーカスしている。
近年、グローバル市場ではビジネスを取り巻く環境が生産性、変化する規制や大量の情報による複雑性、テクロジーの変化により、多くの顧客が影響を受けている。
そのような状況を踏まえ、Abramson氏は「われわれの製品は生産性を高め、洞察・知見の強化を図れる製品だ。顧客のトランスフォーメーションを支援し、ワークフロー管理、ビッグデータの活用、AIによりビジネスの知見を高めることに寄与する。現在はAIや機械学習に注力しており、自動化することで顧客の効率化を図ることを目指している」と説明。
そして、同氏は「CCH Tagetikの買収により、財務データの提供から税務申告までを可能にする体制を構築する。同社のプラットフォームは、パフォーマンス管理ソリューションとして自動化されたワークフローにより、ソースデータから税務申告までを可能とするため、企業の課題を解決できる」と、述べていた。