パナソニックは4月24日、京都に開設した新たな家電デザイン拠点「Panasonic Design Kyoto」についての記者説明会を開催。その中で、京都の伝統工芸とコラボレーションしてプロトタイプを開発した茶筒スピーカー「響筒」を、2019年春を目処に商品化することを明かした。

  • 茶筒スピーカー「響筒」

    茶筒スピーカー「響筒」

  • 蓋を取るとスピーカー部分が露出し音が鳴る。

    蓋を取るとスピーカー部分が露出し音が鳴る。

「Panasonic Design Kyoto」は、家電のデザインを担当するアプライアンス社デザインセンターの複数拠点を京都に一元化して開設された。これまで大阪(黒物家電)と滋賀(白物家電)に分散していた家電のデザイン拠点を京都に集約した形だ。

  • パナソニックの家電デザインの拠点分布。

    パナソニックの家電デザインの拠点分布。海外拠点では基本的に現地向け製品のデザインを実施(ロンドン除く)。東京では製品化に直接ひもづかないコンセプトデザインを追求するラボ的な活動を行う。

それ以前より、同社は京都をベースとしたプロジェクト「Kyoto KADEN Lab.(京都家電ラボ)」(2015年11月~)に取り組み、 京都の伝統産業の職人とコラボレーションし、外部の視点を取り入れた新たな家電デザインのプロトタイプを生み出す試みを行ってきた。同プロジェクトでは「ミラノサローネ2017」での展示を実施し高い評価を得るなど、グローバルでの展開も実施した。

■参考
ミラノサローネで見せた伝統工芸×テクノロジーの融合 - パナソニック デザイナーが語る現地レポート

今回商品化が決定した「響筒」は、手仕事で精密な茶筒を生み出す老舗「開花堂」とのコラボレーションにより作られた、茶筒を筐体としたモバイルスピーカー。近年スマートフォンや音楽配信サービスにより音楽との接点が手軽になった一方で、音と向き合う機会が減少していることを受け、音の響きを手に取り感じることのできる、使い続けることで質感が変化するプロダクトとして開発されたという。このプロトタイプが展示の中で非常に好評だったことから、この度の製品化に結びついた。

「Panasonic Design Kyoto」の開設に際して、「Kyoto KADEN Lab.」では第2弾のプロトタイプ群を制作。心に深く刻み込まれた感覚や体験に価値があるととらえ、それらを導く現象を、照明やスピーカーなどのプロトタイプに落とし込んだ。会見後、報道陣にそのプロトタイプが初公開された。

  • 「Oto no kotowari」

    「Oto no kotowari」水の波紋を用い、音の波形を視覚的に表現するスピーカー。人間の感覚の中で最も多くの情報を感じ取る視覚を刺激し、日頃聞き流しがちな音を意識させる仕掛け。

  • 「To gaku」

    「To gaku」日本建築特有の明かりの扱い方を提示する照明。ライトユニットとパーツを自在に組み合わせ、障子を透過させたり、屏風の箔の色を映したりしてユーザー好みの明かりを選択できる。

  • 「Soyo gu」

    「Soyo gu」竹かごの技法を用いてソフトカバーを作成した大きな送風扇。そよ風の心地よさを追体験できるよう、静かな送風と全身で風を受けるだけの規模を持った構成となっている。