リバーベッドテクノロジーは4月24日、都内で記者会見を開き、丸紅情報システムズ(MSYS)との一次販売代理店契約の締結を発表したほか、新年度の事業戦略を説明した。
今回の契約の締結によりMSYSは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるリバーベッドのプラットフォーム「Riverbed Digital Performance Platform」の販売を同日から開始。
MSYSの顧客サポート力や、全国の販売網により、リバーベッドは国内の新たな販売網を開拓することに加え、同社はWANの最適化ソリューション「SteelHead」に加え、SD-WANソリューション「SteelConnect」によるクラウドネットワーキング、アプリケーションのパフォーマンス監視・管理を行う「SteelCentral」、ソフトウェアで定義されたエッジソリューション「SteelFusion」の提供により、同プラットフォームを展開する。
DXは、企業や自治体のデジタルパフォーマンスを引き出し、業務を加速させる成長戦略であるが、企業内のワークフローやサプライチェーン、従業員のスキルセット、顧客やステークホルダーとの関係にまで至り、従来の環境の大部分を作り変えることが求められ、実施するには多くの知見と費用も求められていると指摘。
同プラットフォームは、アプリケーションの高速化、ネットワーク、アプリケーションおよびハードウェアのパフォーマンス可視化、エッジ化したストレージ管理、SD-WAN/ソフトウェア定義された広域ネットワークの機能を1つのソリューションとして提供する。
ソフトウェア、UTM、SaaSの各形態で提供が可能であるため、利用企業は環境に合わせたモデルを選択でき、最新のITインフラストラクチャによる新たなレベルでの業務の迅速化と効率 化が図れるという。
リバーベッドテクノロジー チャネル ディレクターの川崎桂造氏は「Riverbed Digital Performance Platformはデジタルエクスペリエンスマネージメント、クラウドネットワーキング、エッジコンピューティング領域の3つを内包している」と、述べた。
これは、デジタルエクスペリエンスマネージメントはSteelCentralとエンタープライズアプリケーションのエンドユーザーエクスペリエンスを監視ソリューションを提供するAternity、クラウドネットワーキングはSteelConnect、SteelHead、クラウドベースのWi-FiベンダーであるXirrus、エッジコンピューティングはSteelFusion、SteelConnect、SteelHeadで対応するというものだ。
同氏は「2016年にAternity、2017年にXirrusをそれぞれ買収し、われわれのプラットフォームが完成した。Riverbed Digital Performance Platformを販売する気運が高まっている」と、強調する。
今回の締結にあたり、同社では2018年にパートナープログラムを刷新し、名称を「Riverbed Rise」とした。これまでのパートナープログラムとの違いはリセラーが販売に関する資格の取得数により、パートナーのレベルが決まっていたが、新プログラムではコンピテンシーと売り上げを組み合わせたトータルのパフォーマンスでポイントが蓄積され、ポイントに合わせたキャッシュリベート、販促・トレーニング費用として還元できるようになったという。
川崎氏は「しかし、課題もある。SteelHeadについては、ある一定の販売・サポート体制は整備されいるが、そのほかの製品についてはプリ・ポストセールスの拡充や増強が重要なポイントとなるため、MSYSと販売代理店契約を締結した。これは戦略的な提携だ」と、力を込めた。
一方、丸紅情報システムズ 執行役員 IT基盤ソリューション事業本部 事業本部長の小谷真一氏は「Wオンプレミス型のWAN最適化ソリューションや、ITプラットフォームのデジタル化に対し、クラウド型WAN最適化ソリューションやSD-WAN、エッジコンピューティング、統合解析ツールをはじめ、今後も成長が期待できる市場に製品を提供しており、販売展開していきたいと考えたからだ」と話す。
また、同氏によるとリバーベッドの商品開発力や商品ブランド、販売実績と、MSYSの国内販売チャネル、日本語サポート&サービスを組み合わせ、リセラーが販売しやすい体制が整うという。
MSYSは、DXを導入する企業や自治体に向け、パフォーマンスを管理・向上するソリューションとして同プラットフォームを提供し、初年度に3億円の売り上げを目指す。また、実績を積み上げてきた従来のセキュリティ・ソリューションを、DXを遂げたシステム環境を守るために提供し、ITインフラの統合ソリューションとして提案する考えだ。
今後、リバーベッドはMSYSに対し、技術情報や販売支援を行い、両社の協業により全国規模で新たな顧客層を開拓していく方針だ。
国内戦略の施策
国内の事業戦略については、リバーベッドテクノロジー 代表執行役社長のレオ・キーリー氏が説明した。
まず、同氏はグローバルの業績に触れた。2017年の同社におけるグローバルの業績は年間売上高が1070億円、顧客企業は3万社。製品群の拡張、売り上げの40%が複数製品を組み合わせた受注になったという。
日本の事業戦略について同氏は「クラウド移行やデジタルトランスフォーメーションが進んでおり、年率30%の成長を計画している。プラットフォームの営業を拡大し、大手SIerやセールスパートナー、ディストリビューターとともに、産業部門、重点企業での営業を推進する。特に成長業や児童産業など重点産業分野での受注を目指す」と意気込みを語っていた。