日立製作所と西日本鉄道(西鉄)は4月24日、持続可能な公共交通モデルの構築に向け、次世代バス事業に関する協創を開始した。協創の第1弾として、先端のICTを活用し、バスダイヤ運行計画支援システムの構築に取り組む。
近年、公共交通へのニーズが多様化する中、バス業界では長時間労働による離職や、採用難など慢性的な乗務員不足の問題を抱えている。
西鉄では乗客の利便性向上と乗務員の労働時間短縮を両立させた運行ダイヤの最適化に向けた取り組みを進めてきたものの、ダイヤ編成のベースとなる基礎データの分析においては、大量のデータ抽出や加工作業に時間を要しており、路線の計画や見直しのための分析が効率的にできず、ダイヤ作成者の負担が課題だったという。
両社は2016年8月から、公共交通の維持と業務の効率化を両立する最適な運行計画の策定を目指し、ICTを活用した次世代バス事業に関するグランドデザインの検討を共同で進めている。
今回、バスの本数や利用者数を可視化し、路線状況を効率的に分析するなど実際のデータを活用した実証を重ね、有効性を確認できたことから、ダイヤ編成の業務を支援するシステムの構築を本格的に開始する。
具体的には、バスの走行実績やバスの乗降に関する統計データを活用して、停留所ごとの乗車・降車の需要を分析し、出発地・目的地ごとの需要や運行本数、方面別の利用者数などを地図上に可視化する。
また、運行経路の需給状況やバス1台ごとの運行状況についても捕捉し、路線の混雑具合や潜在的な需要の把握など、最適なダイヤ編成に向けた取り組みを強化する。
今後、実際のバス需要を踏まえた運行計画の最適化に向けてシステム化を進め、2019年度のダイヤ改正の計画策定から活用を予定している。将来的には、気象データや人口統計などのオープンデータとの連携やAI(人工知能)を活用した需要予測などを検討し、同システムの高度化を目指す考えだ。