パナソニックは4月23日、モーター系の動力用三相電力線やLED照明に使用する基幹の三相電力線などを通信用として利用する「HD-PLC」の実証実験を、Panasonic Stadium Suita(パナソニック スタジアム 吹田)などで行うと発表した。

同社が開発した高速電力線通信技術であるHD-PLCは、既存の電力線を利用するため新たな通信線の配線が不要となり、無線の不感場所でも利用できるという。

また、複数の端末間をホップさせて長距離通信を可能にするというHD-PLCマルチホップ技術を利用し、大規模施設などでのネットワーク化にも対応を可能としている。

同技術は、すでに同社の福岡事業場および佐賀工場において実証実験を行っている。今回、新たに競技場や大規模施設での利用拡大に向けて、4月からパナソニック スタジアム 吹田において既存の三相電力線を利用し、同社製照明設備の制御に使用するための実証実験を開始する。

具体的には、スタジアムの一部の配電盤、分電盤、および照明器具の近くの電源にPLCモデムを設置し、スタジアム建物外または建物内でPLC信号の漏洩測定などを行う。これにより、将来は照明設備の設置が容易になり、イベントなどでの利用を可能としている。

また、パナソニックセンター東京では2月から新たに三相電力線を屋外に配線し、群衆誘導システム「スマートガイド」と組み合わせた実証実験を開始。

具体的には、ナカ工業と連携し、足元のあかりや誘導に利用できるLED内蔵のスマートガイドを、同所の東エントランス側スロープに設置している。群衆誘導や避難誘導の際には、安全に移動・避難できる方向をLED照明の光の流れでアシストするという。

同システムは、大規模施設の屋外・屋内に設置でき、有線通信線の大幅省線化や柔軟なレイアウトへの対応などを可能としている。