日本ヒューレット・パッカード(HPE)は4月19日、都内で記者会見を開き、「HPE Synergy」をベースとした「VMware Cloud Foundation(VCF)」向けのハイブリッドITプラットフォーム製品「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」を発表した。

新製品は企業のIT部門の負担を解消する手助けとなるハイブリッドIT基盤となり、各事業部門やアプリケーション開発者らから寄せられる“クラウドのスピード感”でのサービス展開という要求に対応した。

  • 「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」の実機

    「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」の実機

ハイブリットITを促進する「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」

新製品の提供開始にあたり、日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括を務める五十嵐毅氏は「2017年第4四半期における国内x86データセンター(DC)向けサーバシェアで、出荷台数シェアおよび出荷額シェアともに好調だ。エンタープライズ領域におけるハイブリッドITとエッジコンピューティングの実現を加速させてきた」と述べた。

  • 日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏

    日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるべく、オンプレミスとクラウド環境の最適化が図れるハイブリッドITへの架け橋として「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」がローンチされる。

ユーザーからの信頼の厚さを物語るかのように、同社の2017年第4四半期のDC向けサーバシェアは出荷台数・出荷額ともにシェアトップを記録。エンタープライズ領域の戦略として、ハイブリッドITとエッジコンピューティングの実現を加速させる中、今回の発表はハイブリッドITを促進するものとなる。

ポイントとして挙げられたのは、新製品を用いることにより、IT部門、特にインフラ担当者の負担や苦労を解消し、パブリッククラウドとシームレスに接続してデジタルイノベーションを推進するとともに、インフラコストの最適化が図れるという点だ。

そして、それを実現する鍵となるのが、ヴイエムウェアとの強固なアライアンスの成せる技だろう。HPEが長年培ってきたサーバ資産・ノウハウに加え、ヴイエムウェアの仮想化技術の融合により誕生した新製品で、オンプレミス基盤を戦略的ハイブリッドIT基盤に変革するべく、両社のブリーフィングセンターで仮想環境からハイブリッドへの変革に向けたワークショップを開催など力を入れていくという。

また、HPEにおいてはハイブリッドITの推進を担う専任営業部隊を展開させるなど、“DXをあまねく企業へ”という意気込みとともに、既存の仮想化基盤やクラウドを身近なものへと変革するという強い意志を感じさせてくれた。

  • 「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」の概要
  • 「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」の概要
  • 「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」の概要

オンプレミスからより戦略的にハイブリッドITへと変革を促す

次いで登壇した、ヴイエムウェア 上級執行役員副社長の山中直氏は「テクノロジーやイノベーションにより、あらゆる産業でビジネスのデジタル化が進行し、ITがビジネスに直結している。そのデジタル化という変革の波の中心となっているのはアプリケーションであり、クラウド戦略はアプリケーションのニーズによって対応していく必要がある」と、強調した。

  • ヴイエムウェア 上級執行役員副社長の山中直氏

    ヴイエムウェア 上級執行役員副社長の山中直氏

IT部門が抱える複雑性やリスクの低減、敏捷性向上という双方を叶える手段としてヴイエムウェアはクラウドからエッジまで、デジタルビジネスを支え一貫性のあるITインフラを提供してきた。その要となる、すべてのDCリソースを含んだ統合ハイブリッドクラウドプラットフォームであるVMware Cloud FoundationとHPE Synergyの組み合わせにより、ユーザー企業のDXを推進していくという。

  • あらゆる産業でのビジネスがデジタル化によって変化しつつある。ITとビジネスが直結し、従来の枠を抜け出してきているなか、その変化の中核を担うのはアプリケーションだという
  • あらゆる産業でのビジネスがデジタル化によって変化しつつある。ITとビジネスが直結し、従来の枠を抜け出してきているなか、その変化の中核を担うのはアプリケーションだという
  • あらゆる産業でのビジネスがデジタル化によって変化しつつある。ITとビジネスが直結し、従来の枠を抜け出してきているなか、その変化の中核を担うのはアプリケーションだという
  • あらゆる産業でのビジネスがデジタル化によって変化しつつある。ITとビジネスが直結し、従来の枠を抜け出してきているなか、その変化の中核を担うのはアプリケーションだという
  • あらゆる産業でのビジネスがデジタル化によって変化しつつある。ITとビジネスが直結し、従来の枠を抜け出してきているなか、その変化の中核を担うのはアプリケーションだという

新製品の詳細については、日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括クラウドプラットフォーム統括本部 テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏が次のように説明した。

「新製品を投入することにより、企業内で起こりがちな小さな綻び・ギャップを打破できるだろう。CIOはITを駆使し、新規ビジネスへの貢献やコスト削減を、ユーザー部門ではクラウドへの対応はもちろん、クラウドをビジネスにおいても存分に利活用したいと考えている。一方、IT運用担当者は、それぞれの想いはしかと伝わっているもののメンテナンス計画やその実施、緊急対応などで手一杯だ。そうした“期待に応えたいけど余裕がない”IT運用担当者の状況を一変する力を秘めている」

  • 日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括クラウドプラットフォーム統括本部 テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏

    日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括クラウドプラットフォーム統括本部 テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏

VMware Cloud Foundationに付属される「SDDC Manager」により、もたらされる恩恵もその1つで、ソフトウェアのバージョンアップやセットアップ時などにおいて自動化や作業時間の短縮が図れる。

そして、HPE Synergyが持つハードウェアコンポーネントの削減や「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」の採用でIT資産の従量課金化へ対応したこと、そして「HPE OneView」によるハードウェアメンテナンスの自動化・ライフサイクル管理の自動化といった優位点、その相乗効果こそが新製品の真骨頂と言えよう。

  • 「VMware Cloud Foundation」のメリットと「HPE Synergy」のメリット

    「VMware Cloud Foundation」のメリットと「HPE Synergy」のメリット

  • 「VMware Cloud Foundation」の「SDDC Manager」に加え「HPE OneView」でハードウェアに関する構成管理やファームウェア管理をサポート

    「VMware Cloud Foundation」の「SDDC Manager」に加え「HPE OneView」でハードウェアに関する構成管理やファームウェア管理をサポート

  • もっと簡単に、もっと柔軟に、もっと迅速に。「HPE Synergy」が掲げている3つの“もっと”は「VMware Cloud Foundation」の良さをより引き立てる
  • もっと簡単に、もっと柔軟に、もっと迅速に。「HPE Synergy」が掲げている3つの“もっと”は「VMware Cloud Foundation」の良さをより引き立てる
  • もっと簡単に、もっと柔軟に、もっと迅速に。「HPE Synergy」が掲げている3つの“もっと”は「VMware Cloud Foundation」の良さをより引き立てる

  • オンプレミスからクラウドへ。マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの構築を手助けしてくれユーザーのDXを加速させるという

    「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」により、イニシャルコストの削減を図りながら自社にあった環境を構築することが可能

  • オンプレミスからクラウドへ。マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの構築を手助けしてくれユーザーのDXを加速させるという
  • オンプレミスからクラウドへ。マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの構築を手助けしてくれユーザーのDXを加速させるという
  • オンプレミスからクラウドへ。マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの構築を手助けしてくれユーザーのDXを加速させるという

新製品の仕様は、In-a-box型とユニークなフレームで10Uとコンパクトであり、ネットワークはスイッチレスかつケーブルレスながら各サーバには20Gbps×2ポートを装備。ストレージにおいても、各サーバが搭載するHDD/SSDスロットを2~40個まで自由に設定することができ、パワフルかつフレキシブルだ。

また、オンプレミスからVMware Cloud Foundation準拠のSDDC(Software Defined Data Center)への移行を容易にし、自社に適したクラウドサービスを活用することができるという。価格は4010万円(税別)~。

個々の企業におけるIT資産・インフラや用途・目的に応じて、マルチクラウドはもちろん、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用したハイブリッドクラウド環境をも自在に構築・運用することで、ユーザーのDXを縁の下から支えてくれるに違いない。

  • 左から五十嵐氏、山中氏

    左から五十嵐氏、山中氏