ディー・エヌ・エー(DeNA)は4月19日、AI(人工知能)を活用した次世代タクシー配車アプリ「タクベル」を神奈川県タクシー協会と共同で、横浜・川崎エリアで正式にサービスを開始した。
対象エリアは横浜市・川崎市に加え順次拡大を予定し、今夏には神奈川県全域でのサービスを展開する。タクベルは神奈川県タクシー協会の推奨アプリに採択されており、神奈川県内の約半数のタクシー事業者の導入が決定(協会に加盟している182事業者のうち82事業者がタクベルの導入を決定済み、2018年4月19日時点)している。
タクベルは、対応する乗務員専用端末とセットで、タクシーの配車をスムーズに行うサービス。乗客は、アプリで予想到着時間を事前に確認した上で指定の場所へタクシーの配車依頼を行うことができる。周辺を走行中のタクシーがリアルタイムに可視化されて表示されるため、空車走行中のタクシーを確認することも可能としている。
また、迎車地点で乗客と乗務員が効率よく出会えるように、互いの現在地を確認できる機能や定型メッセージを送り合える機能を実装している。さらに、車内決済のほか、全車両でネット決済に対応し、事前のクレジットカード登録で降車時の煩わしい支払い・領収書受け取りなどの手続きを不要とし、目的地に到着と同時にスムーズな降車ができるという。
近くタクベルには、AIを活用する「需要予測システム」の導入を予定し、すでに昨年年9月~10月まで横浜市の一部地域でI・TOP横浜の取組みを活用した実証実験を行っており、その結果を踏まえた機能改善を予定している。
同システムは、運行中のタクシー車両から収集するプローブデータ(自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された道路交通情報)とタクシー需要に関連する各種データ(気象、公共交通機関の運行状況、イベント、商業施設などのPOI情報、道路ネットワーク構造など)を解析し、乗務員にリアルタイムかつ個別に走行ルートを推薦(流し走行ルートの車両個別推薦)するもの。
実証実験から改善する機能としては、予測粒度を500mメッシュから道路単位へと詳細化するほか、需要の予測だけではなく、周囲の空車車両の供給状況を加味し「流し営業での走行ルート」をリアルタイムかつ個別に推薦する。
技術的な特徴は、タクシープローブデータのリアルタイムデータ処理基盤、高精度な(地域内シェアの高さを活かした)タクシー交通シミュレータを用いた実験、AI開発、マルチエージェント深層強化学習を走行ルート推薦への応用となる。
今後、流し走行ルートの車両個別推薦の実用実験を年内に行い、新人乗務員でもすぐに平均以上の収益が得られる状況を2019年に実現することを目指す。そのほか、流し営業中心のエリアだけでなく、駅からの乗車が中心となるエリアへの需要予測システムおよび供給最適化機能の追加も予定している。