富士フイルムグループの富士ゼロックスと東京地下鉄(東京メトロ)は19日、移動中のビジネスパースンが駅構内での"スキマ時間"の有効活用を目指したオフィス空間提供のための実証事件を開始することを発表した。
アポイントメントの合間に企画書や資料を作成、携帯電話で打ち合わせをこなし、次のアポイントメントに向かっていく優秀なビジネスパースンはスキマ時間をフルに活用する。アポイント場所を駆け巡る合間も無駄にしない。駅中でも邪魔にならないようにノートPCを広げ、忙しそうに入力しているシーンを見かける。スキマの時間を活用する人が、学習や仕事に大きな成果をもたらすという話は偉人伝やビジネス書籍でもよく見かける。
富士ゼロックスと東京メトロが6月1日から9月30日かけて行う実証実験は、地下鉄駅内にワークブースを設置し、スマートフォンからの事前登録でこれを利用できるようにするというものだ。テーブル、イス、電源コンセント、専用無料Wi-Fi、液晶モニターが設置された完全個室。電子錠をスマートフォンで解錠する仕組みだ。15分単位での利用も想定しており、電話や資料作成と"スキマ"時間をフル活用している優れたビジネスパースンには、この上ないツールになる。5月31日までは、東京メトロと富士ゼロックス(関連会社含む)社員がシステム運用のために検証する。対象駅は南北線溜池山王駅(5番出入口付近)、千代田線北千住駅(仲町改札付近)で6月以降設置駅を増やしていく予定だ。
モバイルツールを駆使した直行直帰型の働き方や、自社オフィスに出勤しないスタイルが増加する一方、実際に使える環境がカフェやファストフード店に限られる実態から、両社は「場所の制約から働く人を解放し、世界で最も働きやすい都市『東京』」を実現し、駅構内というビジネスパースンの動線上に個人で利用できるオフィス空間を提供するという試みを実証実験することになる。もちろん有料予定での実証実験だが、実現すると利用者は相当いるのではないだろうか。