富士通は4月18日、千葉大学と共同で漢方薬や健康食品などの原料となる薬用植物・機能性植物を効率的・安定的に供給できる栽培技術の確立を目指し、生育状況と栽培環境との関連性を可視化し、生育に重要となる要素を分析する実証研究を開始した。
現在、日本では漢方薬や健康食品の原料である薬用植物・機能性植物は、海外からの輸入に頼っているが、耕作放棄地や休耕田の活用に向けて、薬用植物・機能性植物の栽培ニーズが高まる中、効率的かつ安定的に供給できる栽培技術が確立されていないことが大きな課題となっているという。
今回、国産薬用植物・機能性植物の安定供給に向けた薬用植物・機能性植物の栽培技術の確立を目的に、千葉大学と共同で薬用植物・機能性植物を効率的かつ安定的に供給できる栽培技術の確立を目指し、実証研究を開始する。
期間は4月18日~2019年3月31日まで、場所は千葉大学様柏の葉キャンパス(千葉県柏市)、および奈良県、大分県の協力農家。
実証研究の内容は、千葉大学が奈良県および大分県の協力農家に薬用植物・機能性植物の種苗を提供し、協力農家が栽培した薬用植物・機能性植物の生育状況の計測結果をスマートフォンで音声入力。音声データはAI(自然言語解析)により該当するデータ項目に自動分類され、同社が構築した栽培データ記録システムに蓄積される。
その後、蓄積した生育状況のデータとフィールドセンサで収集した気温や湿度、地温や気象データなどの環境データとの関連性をシステムで可視化。千葉大学は、可視化したデータをベースに生育で重要となる要素を分析し、奈良県および大分県の協力農家に適切な栽培アドバイスを行う。協力農家による栽培結果は、千葉大学が分析し、知見として栽培データ記録システムに蓄積していく。
今後、同社はインテグレーションコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」に基づき、実証研究で構築したシステムの機能拡充を図りつつ、ソリューションやサービスなどの商品化を目指す。さらに、実証研究で得られる知見を活かし、薬用植物・機能性植物の栽培技術と品質基準の確立に向けた活動も行っていく方針だ。