ヴィーム・ソフトウェアは4月18日、都内で記者説明会を開催した。説明会にはVeeam Software アジア太平洋・日本担当 シニア・バイス・プレデントのショーン・マクレガン氏と、同 製品戦略担当 バイス・プレジデントのダニー・アラン氏が出席し、同社の製品戦略と今後のロードマップを説明した。
インテリジェントなデータ管理
アラン氏は、データの重要性に関して「デジタルサービスをサポートするのはデータだ。また、VM(仮想マシン)やアプリケーションを構築するのもデータであり、組織にとって必須のものだ。データ保護・提供は重要なものであり、爆発的なデータ量の増加に加え、SaaS、プライベートクラウド、パブリッククラウドなどデータ保管場所のハイブリッド化に対応しなければならない」と指摘する。
そこで、同社は企業がユーザーに対してハイパーアベイラビリティ(可用性)を提供することを支援しており、1つのデータセンターだけでなく、クラウド全域においてアベイラブルであるべきだという。
これにより、ビジネスに対してデータをプロアクティブに活用することが必要となることから、同社ではそれらを可能にするプラットフォームの構築を目指している。つまり、「インテリジェントなデータ管理」のプラットフォームで、ハイパーアベイラビリティを求める企業の期待に対応していくことが重要だとの認識を示す。
インテリジェントなデータ管理には5つのステージが存在し、ステージ1が「バックアップ」、ステージ2が複数のクラウド間におけるデータ保護とデータアクセスを保証する「集合」、ステージ3が「可視性」、ステージ4がマルチクラウド間で最適な場所にシームレスにデータを移動する「オーケストレーション」、ステージ5がバックアップの取得、ビジネスニーズに基づいたデータの最適な場所への移動、異常発生時のデータ保護と瞬時の復元などの「自動化」となる。
同氏は「大半の企業はステージ1、2に留まっており、データに対してプロアクティブな手法を用いるのがステージ3からとなる」と、説明した。
すでに、同社では2月にアベイラビリティプラットフォーム「Veeam Availability Platform」製品群の新製品「Veeam Availability Orchestrator」を発表し、オーケストレーションに対応している。
Veeamのハイパーアベイラビリティプラットフォーム
今回、同社では従来から提供しているVeeam Availability Platformをリブランディグし、ハイパーアベイラビリティプラットフォームとして位置づけている。
同プラットフォームは、コアの部分は「バックアップ&復元」「レプリケーション&フェイルオーバー」がエンジンとなり、汎用APIによりパートナーとの連携ソリューションを早期に実現可能としている。
また、アプリケーション、ハイパーバイザー、ストレージ、ネットワークは戦略的パートナーとの連携により、アベイラビリティとSLA(Service Level Agreement)を高度化することで、運用効率を向上させるという。
さらに、本番データを使える開発環境を実現するVeeam DataLabs(旧Veeam仮想ラボ)により、隔離したデータコピーを使い、セキュリティのテストや攻撃を受けた後のフォレンジックができ、イノベーションの加速、ITリスクの軽減、セキュリティの向上、コンプライアンスの保証を可能としている。
そのほか、可視性と管理については、クラウド、SaaS、物理と3つの分野をカバーしていることに加え、単一画面で一元管理を可能にしていく。加えて、インテリジェントな自動化により、将来的には必要とされる行動を予測し、マルチクラウド全体のニーズを確実に満たすことでリスクを削減し、イノベーションを促進するという。
アラン氏は「単一のウインドウで顧客が必要とするハイパーアベイラビリティを一元管理し、単一のプラットフォームで単一の可視性が実現されていれば、自動的なオーケストレーションが可能だ。また、ワークロードはオンプレミスからクラウド、SaaS、再びクラウドとビジネスの要求に基づいて移行できるようになる」と述べた。
さらに、自動化については「外部のインテリジェンスを活用することで自動化を促進する。イノベーションにより、スナップショットの時間が短縮されており、現在、パートナーとともにイベントの活用や振る舞い監視などでデータ保護の強化に乗り出している。例えば、災害が発生した際に外部センサを活用し、データを被災しない場所に移動することが可能になる」と、同氏は強調していた。
一方、マクレガン氏は「グローバルでは28万2000件の顧客を抱え、毎月4000以上増加しており、今後の数週間で30万件の大台に達する見込みだ。1630万のVMを保護し、NPS(ネットプロモータースコア)は73となる。これはユーザー間において、われわれの製品の実装が成功しているということの表れであり、2018年はマルチクラウドに対して企業のハイパーアベイラビリティを実現する年となる」と、意気込みを語っていた。