テクトロニクス社は4月17日、新製品としてケースレーの6.5桁グラフィカル・サンプリング・マルチメータ(デジタルマルチメーター:DMM)「DMM6500型」ならびにデータ・ロガー/データ収集システム「DAQ6510型」を発表した。
2製品ともに、ピンチ&ズームが可能な5型のタッチスクリーンディスプレイを採用しており、簡単かつ迅速なテスト・セットアップと分かりやすいモニタリング/データ表示を可能とした。
また、キャパシタンス、電圧または電流波形のデジタイジング、熱電対、サーミスタ、RTD(測温抵抗体)による温度など、15種類の測定項目と広い測定レンジ、マルチチャンネル測定機能、クラス最高レベルの確度と感度を実現。ピンチ&ズームのほか、グラフ表示、カーソル、統計表示機能なども搭載しており、これにより詳細な測定トレンドと波形特性が表示できるため、セットアップ、監視、測定に要する時間を短縮することができるようになるという。
具体的には、波形とトランジェントは1MS/s、16ビット・デジタイザで取り込めるほか、DC電流最小分解能は10pA、抵抗最小分解能は1μΩを実現。また、1年基本最高確度も0.0025%と高いため、2年の校正サイクルによる長期使用が可能が可能となっている。
さらに、オプションとして10チャネル・スキャナ・カードまたは9チャネルの熱電対スキャナ・カードを後部パネルのスロットに装着することが可能。標準インタフェースはLAN/LXIとUSB-TMCだが、オプションとして6デジタルI/Oビットを含んだGPIB、RS-232、TSP-LINKが用意されている。
また、既存のケースレー2000シリーズや、キーサイト34401AなどのDMM(Digital Multi-Meter)を用いているユーザーが、最小限のテスト・コード変更で従来のテスト・システムのハードウェアを簡単にアップグレードすることを可能とするエミュレーション・モードも用意されているという。
一方のDAQ6510型は、DMMにデータロガー機能を搭載したモデル(ただし背面インタフェースが異なるため、対応電流範囲が異なるなど細かな仕様の違いはある)。PCを用いずにマルチチャネルのテストの実行や、データ分析を行うことが可能で、リアルタイム・モニタリングにより、試験ステータスを観測することで、テストの途中でも解析結果を導き出せるため、テスト時間の短縮を図ることが可能となるという。
また、グラフ機能を用いることで、20チャネルから最大20項目を1つの画面でプロットし、ピンチ&ズーム操作で詳細に観測し、カーソルと統計機能による詳細な解析を実現できるとする。
さらに、7700シリーズ・プラグイン・スイッチ・モジュールと組み合わせることで、1システムで最大80のデバイスをテストすることが可能なほか、マルチプレクサ、熱電対による温度測定のための冷接点補正付のマルチプレクサ、マトリクス・スイッチ・モジュール、制御モジュール、デジタルI/Oモジュール、GHzスイッチ・モジュールなど、12種類のプラグイン・スイッチ・モジュールも用意されており、ほとんどすべてのタイプのマルチチャンネル・テスト・システムを構築することができると同社では説明している。
このほか、測定したデータをリアルタイムで本体のほか、USBメモリにも書き出すことも可能。これにより、計測途中になんらかのエラーで測定が中断されても、そこまでのデータを保存することができるようになった(PCも接続していれば、PCへの保存もさらに可能)ほか、波形を画像ファイルとしてUSBメモリ経由でダウンロードしたり、数値データをCSVファイルでダウンロードしたりといったことも可能だという。
なお、DMM6500型の価格は13万9000円(税別)、DAQ6510型は21万3000円(同)となっており、IoTの普及に伴い、拡大が見込まれる低消費電力機器の開発や評価といったシーンを中心に、拡販を図っていきたいとしている。