ダッソー・システムズは4月13日、国内事業戦略に関する記者説明会を実施。山賀裕二 代表取締役社長らが、2018年の同社の事業展開についてプレゼンテーションを行った。

  • ダッソー・システムズ 山賀裕二 代表取締役社長

    ダッソー・システムズ 山賀裕二 代表取締役社長

  • 2018年の国内事業における3つの戦略

    2018年の国内事業における3つの戦略(画像提供:ダッソー・システムズ)

山賀氏は、冒頭で現在の産業界は大きな変革にさらされていることを指摘。特に、同社が3DCADソフト「CATIA」で大きなシェアを占める自動車業界に関して言えば、「自動車の所有からシェアリングへの移行」、「コネクテッドカーへの進化」、「自動車の電動化」、そして「自動運転」と、多角的な変化が一度に押し寄せる、100年に一度の大変革の時であると語った。

こうした変化を受け、同社は経営方針を変革させ、CADメーカーから顧客のイノベーションを支援する企業へと大きく舵を切っていると強調。3つの軸にわけて、2018年の事業展開の方針を示した。

3DEXPERIENCEプラットフォームの導入促進

  • 3DEXPERIENCEプラットフォームの導入促進を狙う「POWER'BY戦略」

    3DEXPERIENCEプラットフォームの導入促進を狙う「POWER'BY戦略」(画像提供:ダッソー・システムズ)

同社が提供する3DEXPERIENCEプラットフォーム(以下、3DEプラットフォーム)の導入を、国内において促進することが第1の目標とした。このために、設計から検証、製造までを一貫して支える「POWER'BY戦略」を打ち出した。

これまで、CATIA V6をベースとしていた3DEプラットフォームを、CATIAの旧製品や他社のCAD製品とも連携するよう対応を進めてきた。同社 ENOVIA事業部 セールス・ディレクターの神保孝二氏は、今回の戦略によって、単なるCADデータの管理に留まらず、3DEプラットフォーム上においてあらゆるCADデータを統合管理が可能になり、CATIA V5とV6の共存、および移行もスムーズに行えると語った。

多角化のさらなる推進

山賀氏が冒頭で例に出した自動車業界を筆頭に、製造業向けのツールを提供する企業としてのイメージが強い同社。近年はライフサイエンス、エネルギー、建築/建設、パッケージ材・小売など、ツールごとにアプローチする業界を広げているが、今後はさらにその動きを加速するとした。

  • BAIOVIAを活用したバッテリー開発事例

    BAIOVIAを活用したバッテリー開発事例(画像提供:ダッソー・システムズ)

その一例として、創薬などにも用いられているシミュレーションツール「BIOVIA」が挙げられ、CATIAを用いる工程の手前である研究開発領域においては、材料シミュレーションを行うものであることが紹介された。

新規ビジネスモデルの導入

3つめは、昨年発表された「3DEXPERIENCE マーケットプレイス」の推進。2018年2月に発表した時点では登録企業は50社となっていたが、現時点(4月13日)においては200社にまで増加。「待ちの行列が3桁に及んでおり、日本でもサービスプロバイダとやりとりしている」(同社 ジャパン マーケティング シニアディレクター 伊藤宏隆氏)と、好調ぶりをアピールした。

  • 「3DEXPERIENCE マーケットプレイス」概念図

    「3DEXPERIENCE マーケットプレイス」概念図(画像提供:ダッソー・システムズ)

3DE上でマーケットプレイスを展開することで、企業のバリューチェーンの中での活用を見込む。一例としては試作の依頼などの業務プロセスのなかで利用されることで、社外への発注まで含めたバリューチェーンの一貫管理を行えるとした。

事業推進のためにダイバーシティを加速

最後に、これらの3つの要素を推進するための社内的な施策を山賀氏が語った。人材のダイバーシティを拡大し、新卒社員などの若手や女声を中心に採用を薦めていくと言及。加えて、個人のボランティアに対して休暇を付与するボランティア休暇制度の設定など、就業環境を整え、社員ひとりひとりがより充実して働ける場を用意するという。

そして、単なる営業活動ではなく"ポストセールス活動"への移行を宣言。売りきりのビジネスではなく導入・運用・定着の支援から効果確認まで、顧客と寄り添っていく営業スタイルへの変革を進めていくほか、2016年に加入した経団連などを例に挙げ、渉外活動の活発化により日本での存在感を高めていくとした。