Anaplan Japanは4月11日、都内で記者会見を開き、日本における事業戦略について発表した。
企業の意思決定を支援するプラットフォーム
Anaplanは、2011年にイギリスのヨークで創業し、現在の本社はサンフランシスコで、これまで3億ドルの資金調達を受け、評価額は14億ドルとなる。グローバルに850社の顧客を抱え、直近の年間売上高は2億ドルに達している。
同社は、クラウドをベースにアナリティクスとプランニングを組み合わせた意思決定を支援するプラットフォームを提供しており、クラウドのバックボーンで特許済みのインメモリデータエンジンにより、企業の多様な計画ニーズに対応している。
企業では3~5年の期間で実行される中期経営計画などを策定するが、各年度の年次計画が存在する。年次計画の構成要素としては、例えば人事や生産、営業販売、マーケティングなど部門ごとのものがあり、これら中期計画、年次計画を含め、同社では計画業務として位置づけている。
Anaplanジャパン カントリーマネージャの中田淳氏は「IT的な計画業務には特徴があり、データはどのシステムにも存在しておらず、販売計画などは人に聞かなければ判断がつかない場合が多々ある。基幹システムを導入していても自動的に集めることができないため、計画業務をIT化することの難しさがある」と指摘する。
大半の企業では表計算ソフトを使いつつEメールで問い合わせ、それらを集計してコピー&ペーストし、1つの集計表としてレポートを作成している。一例として、同社の国内大手製造業の顧客は、ある計画業務で集計表の作成に年間3500時間、国内大手金融業では20万時間をそれぞれ要していることを挙げている。
基幹業務は、ITにより自動化・標準化されている一方で、計画業務は実績データを使い、昨年の業績を基に作成するが、その際に表計算シートとEメールを使う手作業になり、IT化されておらず、労働集約型となっているという。
また同氏は「サプライチェーンを例に挙げれば販売計画と供給計画を別々に作成するため、数字に齟齬が生じることがあり、サイロ化されている。労働集約型のプロセスに依存していると、ミスが多く、時間を要し、高コストとなる。これらの課題に対して、計画ニーズに求められるものは生産性の向上、スピード、確かな情報に基づく意思決定の3つだ」と話す。
そこで、同社が掲げているのが「コネクテッドプランニング」だ。これは、同社のクラウドプラットフォーム上で財務や営業、サプライチェーン、人事、マーケティングなど各部門の多様な計画を連携させ、組織横断的に計画業務を遂行することを可能としている。
また、スモールスタートを可能とし、1つ1つの計画をつなげて最終的にコネクテッドプランニングを実現するというものだ。
同社は、2018年の事業戦略としてグローバル企業(製造業、金融、ハイテクなど)をターゲットに会計、サプライチェーン、営業の3つの領域に注力する。さらに、エコシステムの強化施策としては業界特化型営業の強化、無償PoC(Proof Of Concept:概念実証)の実施、パートナー導入支援、エキスパートへの教育投資、ユーザーコミュニティの形成に取り組むという。
Anaplanが目指すAIの領域
続いて、米Anaplan プロダクト担当バイスプレジデントのサンパス・ゴマタン氏は、同社のコネクテッドプランニングについて「ダイナミック、コラボレーティブ、インテリジェントの3つの要素で構成されており、ロードマップの注力領域は顧客体験とインテリジェントプランニング、企業向けの3つだ」と強調した。
そして、3つのロードマップのうち、同氏は顧客体験とインテリジェントプランニングについて重点的に説明した。顧客体験では、個人ダッシュボードやユーザーフィルタなどプラットフォームを使いやすくする。
また、プランニングを1つの活動として考えた際に多様なステップ・段階が存在し、さまざまな人が関わるため、プロセスワークフローと連携する。例えば、通知とタスク、リマインダーやダッシュボードへのリンク、ユーザー別のタスクボードをはじめとした機能で補い、計画サイクルの短縮、部門内外を問わないコネクテッドプランニングを実現していくという。
そして、顧客体験を再考し、ボード、グリッドページ、フォームエントリーの再設計により、直感的なエンドユーザー体験などを可能にするとしている。
インテリジェントプランニングは、これまで同社は顧客のデータに基づいたアルゴリズムを組み込み、予見的なプランニングを実施している。
将来的には顧客の課題解決に向けて、AIや機械学習、自然言語処理のテクノロジーをプラットフォーム組み込むことを想定。
ゴマタン氏は「現在、計画立案者が作成しているモデルをTensorFlowなどを活用し、PoCに取り組んでいる。次のステップとしてはプラットフォームに統合することだ。そして、アレクサやGoogle Homeなどの対話型の自然言語処理などのAIテクノロジーを順次採用することも検討している」と、展望を語っていた。