ブラックベリー・ジャパン カントリーマネージャー 五木田憲男氏

ブラックベリー・ジャパンは4月12日、記者説明会を開催し、セキュリティプラットフォーム「BlackBerry Secure」、企業向けエンドポイント管理ソリューション「BlackBerry Unified Endpoint Management(UEM)」の新機能を紹介した。

初めに、カントリーマネージャーの五木田憲男氏が、同社のビジョンについて説明した。「BlackBerry」と聞くと、スマートフォンをはじめとしたモバイルデバイスのメーカーというイメージがあるかもしれない。しかし、BlackBerryは昨年にハードウェアビジネスを終了しており、モバイルやセキュリティを中心としたソフトウェアビジネスにシフトしている。同氏は、「ソフトウェアビジネスは既に6期にわたり黒字となっており、安定している」と述べた。

続いて五木田氏は、同社のビジョン「モノの企業(Enterprise of Things)の実現」について説明した。モノの企業(Enterprise of Things)を実現するための要素は「デジタルトランスフォーメーション」「セキュリティ」「モノ」の3つとなる。Enterprise of Thingsは、モノを用いてセキュアにデジタルトランスフォーメーションを可能にするという。

同社はこのビジョンの下、「エンドポイント管理」「エンタープライズアプリケーション」「セキュアなコラボレーション」「プロセスの最適化」「複雑な自律システムにおける即時制御とレスポンス」に取り組んでいく。「今は、エンタープライズアプリケーションまでは取り組みが進んでおり、まだすべてのモノまではカバーできていない。最も大切なものはデータと考えており、われわれはデータを安全に保つことにフォーカスしている」と五木田氏は話した。

  • BlackBerryの取り組み

同社は、Enterprise of Thingsのためのプラットフォームとして、「BlackBerry Secure」を構築している。BlackBerry Secureは、企業がさまざまなプラットフォーム上でさまざまなアプリケーションを安全に利用することを実現するプラットフォームだ。そのコアプラットフォームの1つが、企業向けのエンドポイント管理ソリューション「Unified Endpoint Management」だ。

  • EoTプラットフォーム「BlackBerry Secure」

UEMの新機能については、エンタープライズ・アカウント・マネージャーの多田昌広氏が説明を行った。同製品は、さまざまなデバイスにわたり、アプリケーションとコンテンツを単一のプラットフォームで管理することを可能にする。

今回発表された新機能の目玉が「BlackBerry Enterprise BRIDGE」だ。これは、モバイルアプリ向けのコンテナ「BlackBerry Dynamics」からマイクロソフトのOffice 365のモバイルアプリをシームレスかつセキュアに利用することを可能にするもの。

BlackBerry Dynamicsは、AES 256ビットによる暗号化が行われており、これまで、マイクロソフトのモバイルアプリを使う際は、暗号化を解除してデータを渡していた。これに対し、BlackBerry Enterprise BRIDGEでは、BlackBerry DynamicsのアプリとOffice 365アプリにおいて、セキュアな状態で同一のファイルを操作することが可能になる。

多田氏によると、BlackBerry Enterprise BRIDGEはBlackBerry Dynamicsからマイクロソフトのネイティブなアプリを使いたいという顧客のニーズに応えたものだという。

また、UEMには、電話、電子メール、SMSによる通知機能が追加された。具体的には、システムメンテナンスやメール障害の通知、コンプライアンスの警告が行えるようになった。

そのほか、IT管理者は、ユーザーの勤務時間外の電子メールやカレンダーの通知をBlackBerry Workにポップアップとして表示させることが可能になった。なお、勤務時間外にメールやカレンダーが利用できなくなるわけではなく、ポップアップの画面で「OK」を推すと、メールやカレンダーを閲覧することができる。

昨今、日本の企業では働き方改革の一環として、労働時間を短縮する取り組みが進められているが、この機能は働き方改革を支援するものだという。

上記の機能は、今年5月末に提供が開始される予定。